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2021/04/29

第37話

再び

病室へ向かっていると、中から笑い声が聞こえた。
この声は……陽向ちゃんかな。
ノックしてドアを開けると、予想通り、陽向ちゃんが柊のベッドの側に座っている。

「あ、麗奈さん!こんちには!」
「うん、こんにちは〜。あ、そうだ陽向ちゃん」
「はい?」
「これ、沖縄のお土産。よかったらどーぞ」
「いいんですか!?ありがとうございます……!」


「全然!こちらこそ、すぐに渡せなくてごめんね?」


「そんな……!麗奈さんから何かを貰えたってだけで嬉しいです!」

か……可愛い
美男美女兄妹……いいなぁ
って、いつも思ってるよね 笑


沖縄旅行から帰ってきてから1週間後、柊は再び入院した。


状態が悪くなったからだ。


今は安定していて、沖縄に行った時と変わらないくらいになっている。

やっぱり、この病気はそう簡単に治るものじゃないんだよな。
つかの安心は、終わってしまった。

「あ、私文化祭の準備の買い出し頼まれてるから、もう行くね。お兄ちゃん、ばいばい」
「あ、うん」
「麗奈さん、失礼します。あ、お土産、ありがとうございました!」
「どういたしまして、気をつけて帰ってね」
「はい!」


「あいつ……麗奈がいると妙にテンション高いんだよな」
「そうなの?陽向ちゃんって可愛い」
「文化祭か……」


「陽向ちゃんの学校、12月に文化祭なんてめずらしいよね」


「確かに 笑
 麗奈の高校生初の文化祭、行けなくてごめん」
「いいの、仕方ないから」


「あーあ、俺も行きたかったなー」


「面白い話、いっぱい持って帰って来たでしょ?」


「うん、特に湊くん……?の腕相撲大会の話とか!」


「あ!それ、そんなに覚えてたんだ 笑」


「まあね……ありがとう、麗奈」


「え?」


「一緒にいてくれて。ありがとう」


「や、やめてよ。なんか、最後みたいじゃん」


「……最後なんだよ」


「柊……?」

「なぁ麗奈。」


「なに?」


「突然だけどさ、俺……俺はもう……」

え……待って、その先は……


ほんとに、突然すぎるよ……
その先は、聞きたくない
……怖い
……辛いよ
「そ、そうだ柊!ええっと……朗読、そうだ、今日まだ朗読してないよね!えっと___」


「麗奈」


「っ……」


「お願い。聞いてほしいんだ」


「…………」


「俺はさ、___」


「っ……」
「もう、だめかもしれない」

言われて……しまった

「そ、そんな……こと、言わないでよ。きっと___」
「だめなんだ」
「っ……」
「……分かってることだから。麗奈に秘密事は、無くそうと思って……」
「柊……」
「だから……ね、麗奈。これからは毎日……は無理か。会った時は絶対、ハグしよう?」
「……え?」
「こうしているとね___」

その声と同時に体が引き寄せられる

「麗奈を近くに感じられる。……"俺、生きてる"って思える。あと何回こうしてられるか分からないから」
「……ばか、ずっとだよ……ずっと、こうしてられるから。だから……」



あぁ……まただ。また、泣いてしまった。


少し体を離して柊の顔を見た。



「今度は、隠さないでいてくれてありがとう」



柊の目からこぼれた涙が、病室の窓から入る夕陽に照らされ、光っている。


それから、顔が近づいた。

その日のキスは、少し寂しく思えてしまった。



柊の病気が急激に悪化し始めたのは、それから1ヶ月後のことだった。


  ♤  ♤  ♤