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2021/05/15

第40話

葛藤 〜湊side〜

れいは最近、ぼーっとすることが多かった。
授業中もずっと上の空。
俺はその理由を知っている。
分かっている。


前に、彼氏が病気になったとれいから聞いた。

『あ、でも全然!2人は気にしないでね?』

笑って言うれいの姿を思い出す。
目は笑っていなかった。
いや、笑えてなかった。
れいは自分が淡々としていると思っているようだけど、俺が知っているれいは喜怒哀楽がはっきりしていて、表情豊かな人だ。
だから、彼氏ができたと聞いたときのれいは楽しそうだったし、俺がれいにフラレたときは申し訳無さそうにしていた。
そう、すぐに分かった。
まあ、周りの人から聞くにれいの表情は読み取りづらいらしいから、こうして分かるのは俺も木葉も、れいと幼馴染でずっと一緒にいたからなのかもしれない。
それでも、最近のれいはやっぱり落ち込んでいるように思う。
表情がいつもよりも出ていると感じるのは、喜んでいいことなのか喜んではいけないことなのか。
俺は馬鹿だから、能天気に見えて中は真面目でしっかり人を見ている木葉には敵わない。
それでもずっとれいに助けられてきた俺は何かしたくて。
少しの気分転換にでもなれば、と遊びに誘った。
でも、あれを送った後、俺は後悔して送信を取り消そうとしたんだ。
『何してんだ俺は。
れいならお見舞いに行ってるんじゃないか?
そうじゃなかったとしても、1人になりたいって思ってるだろ……』
後からどんどん出てくることに頭がくらくらして自分が送ったメッセージがぼやける。
送信を取り消そうとしたときにはもう遅かった。
送って1分も経ってないはずだが、俺の送ったメッセージの横には"既読"の文字。
ああ……これを見たれいは気を悪くするだろう。
"こんなときに、なんて事を言うんだ"って怒るかもしれない。
既読スルーされたって良かった。
でもれいは返事をくれた。
それも、Yesの回答。
いいのだろうか。
無理はさせてないだろうか。
そんな考えも出てきてからすぐに捨てた。

『何言ってんだ誘ったのは俺の方だろ!』

そう自分に言い聞かせて、河川敷へ迎えに行った。


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