無料スマホ夢小説ならプリ小説 byGMO

58
2021/07/28

第43話

なんでかな

手の力がどんどん抜けていくのが分かる。
気づけばペットボトルは床へ落ち、ドテッと鈍い音が鳴ると同時に私は勢いよく振り返り彼の名前を叫んでいた___

「柊!!!」

……と思っていたのに、声は全然出ていないし前へ行きたくても足が動かない。
エレベーターに入って行くお医者さんや看護師さん……そして、落ち着きのない柊の姿を遠くから見るしかなかった。
"柊"と繰り返すが声は出ない。



一歩踏み出せば、膝から崩れ落ちていた。
荒い呼吸の音が廊下に響く。
とうとうエレベーターのドアが閉まりみんなの姿が見えなくなると、今まで何かにせき止められていて、それが一瞬にして壊れたかのように一気に涙が出てきた。
今は声も出る。
体も動く。

「なんでっ……なん…でっ今になってっ……!」
「ちょっとお嬢ちゃん大丈夫……!?」

たまたま通りかかったおばさんが駆け寄ってくれた。




「柊がっ……はこ…運ばれてっ……私…何もっ……うぅ」

私は何も考えず、そのおばさんに言っていた。
おばさんは、うんうんと優しく相槌を打ち、背中をさすってくれていた。


  ♤  ♤  ♤