第3話

血の滲んだ手首
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2021/01/25 09:19



ひとしきり飲んだあと、僕は彼女の手首から口を離した。

夕焼けが窓から差し込んでいる。

彼女も同じようにオレンジ色に染まっているけれど、きっとそれは夕日のせいだ。

僕が血を飲んでしまったから、本当はやや青ざめているだろう。

もしかしたら、立ちくらみがしているかもしれない。


僕
大丈夫?
あなた

へーき

僕
すこし座ったほうがいいんじゃない?
あなた

ううん。大丈夫だから、帰ろ

僕
……うん



あなたは、ポケットからハンカチを取り出すと、血の滲んだ手首にグルグルと巻いた。

それから、僕ににっこりと笑いかける。



あなた

ほら、血ももう止まった。行こ




その眩しいくらいの笑顔に、僕の胸は締めつけられる。








           愛しい君は



      いつまで僕のそばにいてくれる?





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