そう呟いて、視線を落とす。
いつかはきっと我慢の限界を超えていた。
そしたら、あなたに襲いかかって、無理矢理キスしたり……乱暴なことをしてしまったかもしれない。
それなら、今言っていたほうが、ずっといいと思った。
傷口が深くなる内に、いや……すでに深いけれど。
ああ、恥ずかしいことを言ってしまった。
僕は、ばかだな……。
あなたの声。
その声は、驚くほど優しくて。
僕は、じわりと彼女のほうを見た。
なにを今さら訊いてくるんだろう。
そう言って、にこっと笑いかけるあなた。
ああ、そうか君は……そういう人だった。
あの時もそうだった。
吸血鬼だってバレた時も、あなたは優しい笑顔を向けてくれた。
拒絶しないでくれた。
やっぱり君は僕の救いなんだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。