僕は、血が大好きだ。
特に、あなたの血は格別においしい。
ふんわりと甘いチョコのようなまろやかさがあって、しかも微かに柑橘系の香りもする。
一度飲んだら、忘れられない味。
あなたの血は、最高だ。
毎日でも飲みたいくらい。
……まぁ、それはなかなか叶わないことではあるけれど。
放課後、いつものように帰る支度をしていると、幼なじみのあなたがやってきて言った。
細くウェーブかかった髪をふわりと揺らすあなた。
あなたは小さくて髪もふわふわで、あいかわらずウサギみたいだ。
彼女の質問に、僕はしばらく考えたのち答えた。
にこっとくもりない笑顔を向けるあなたに、僕はちいさくうなずいた。
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あなたの血が、好きだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。