第4話

タチの悪い冗談
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2021/01/25 10:57



家路を目指しながら歩く。

隣には、幼なじみの姿。

まるでなにもなかったように、にこにこ笑いながら僕に話しかける。



あなた

飲むの2週間ぶりだったかな?

僕
うん。それくらい
あなた

もっと感覚狭めてもいいよ?
無理してるんじゃない?

僕
ううん。今ぐらいで十分だよ
あなた

ほんと〜〜?

あなた

遠慮なく言っていいんだからね?
これでも、血の気は多いほうなんだから

僕
あっそ
僕
じゃあ干からびるまで飲んであげようか
あなた

え、それはちょっと……

僕
冗談だよ



我ながらタチの悪い冗談だ、と思わず笑ってしまった。

干からびるまで、なんて想像するだけでゾッとしてしまう。

大切な幼なじみを、殺すわけにはいかない。






今年の春、同じ高校に入学した僕ら。

こころが僕の正体を知って、もう7年経つ。

いまだに君は、僕に血を分けてくれる。

なんでそんなに尽くしてくれるのだろう。

『尽くす』という表現は正確ではないかもしれない。

もしかしたら、僕を助けることに、ある一定の使命を持っているのかもしれない。

けれど、どちらにせよ、その行動は普通の人からすれば、異常かもしれない。

『吸血鬼』に、血をさしだすなんてーー。



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