家路を目指しながら歩く。
隣には、幼なじみの姿。
まるでなにもなかったように、にこにこ笑いながら僕に話しかける。
我ながらタチの悪い冗談だ、と思わず笑ってしまった。
干からびるまで、なんて想像するだけでゾッとしてしまう。
大切な幼なじみを、殺すわけにはいかない。
今年の春、同じ高校に入学した僕ら。
こころが僕の正体を知って、もう7年経つ。
いまだに君は、僕に血を分けてくれる。
なんでそんなに尽くしてくれるのだろう。
『尽くす』という表現は正確ではないかもしれない。
もしかしたら、僕を助けることに、ある一定の使命を持っているのかもしれない。
けれど、どちらにせよ、その行動は普通の人からすれば、異常かもしれない。
『吸血鬼』に、血をさしだすなんてーー。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。