第11話

その日の夜 Part2
920
2018/10/13 05:37
手越side
ぐっすり眠っている穂花。

その部屋に…
加藤シゲアキ
入るぞ!
手越祐也
うん…
加藤シゲアキ
どうしたんだ?
急に穂花のとこに行くって言って。
寝たんだろ?
手越祐也
いや…

穂花ね、犯人に化け物って言われたって。

それでさっきまで泣いてたんだ。
加藤シゲアキ
な…
手越祐也
自分で、自分の力に怯えてるような
気がする。

寝た後、寝言で『怖い』って。
加藤シゲアキ
そうか…。
手越祐也
俺も怖い。

この力で、かっとなって人を殺したりしたら…


それは、俺の父さんと母さんがやったことと
同じになる。


穂花も同じじゃないかな。


自分の父親と母親みたいにならないように…



人を殺す力を封印したいんじゃないのかな。
加藤シゲアキ
手越…

お前の両親も、だったのか?

暗殺者だったのか?
手越祐也
そういえば、言ってないね。

そうだよ。俺の両親はまあまあ腕のいい
暗殺者だった。


もちろん、警察側の。


でも…2人は、その力で他を征服しようとした。
まったく関係のない人を殺したんだ。
自分のために。


決してしてはいけない、あの組織についたんだ。




そのせいで、殺された。




俺は、そんなふうになりたくない。
加藤シゲアキ
お前も、か。
手越祐也
シゲも?
加藤シゲアキ
いや、俺は違う。

というか、親が誰なのかもわからない。


捨てられたのか、殺そうとしたのか。


せめて、生きているかだけでも知りたい。
手越祐也
そうか…。
後に残ったのは、気まずい沈黙だった。

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