約束に遅れる!
私は大急ぎで緋色が言っていた喫茶店に向かった
ごめん!お待たせ!
全然平気だよ
とりあえずさ、聞きたいことがあるんだけど
うんうん
…颯君とどういう関係なの?
…え?
どういう関係って…クラスメートですけど
あ、もしかして緋色は私と増田くんをくっ付けたいとか?
まさか。
答えてよ
私のした質問に!
…あ、あの…緋色もしかして怒ってる?
緋色がムスッとした顔で私を見てきた。
…うん。そうだよ。
私、ちょっと怒ってるんだけど
あ、…ごめんね?何かしたなら謝るよ
菜々美ちゃんさぁ、増田くんの事を好きでしょ
は…?
私ね知ってるよ
菜々美ちゃんは私が増田くんが好きなのを知っていてあえて増田くんを奪おうとしているの
ち、違うよ!
じゃあ何が違うのよ!
ガシャンッ!
緋色の勢いにコーヒーが乗ったお皿が大きく音を立てる。
お、お客様どうかなさいましたか?
喫茶店の店員まで慌てて私の席まで来た。
あ、すいません。なんでもないです
菜々美ちゃんのせいだからね
…ッ!
聞こえてしまった…
緋色が恨みありそうに
『菜々美ちゃんのせいだからね』
菜々美ちゃんには分からないよ!好きな人が友達と被った気持ちなんて!
察してたでしょ!部活見学の時に
…あ
そうだ…あの時に…
吹奏楽部の見学中に
…もうキライ。
でも。
緋色、何か勘違いしてるよ
私は増田くんの事をなんとも思ってないよ
クラスメートとして見ているよ
菜々美ちゃんなんて大嫌い
…!
緋色…
待ってよ待って。
ガランガラン…
いらっしゃいませ
あ、桐谷さんに山口さん?
こんな所で会うなんて偶然だな
宮本君…山田君…
何?山口さん泣いちゃって
あ。
…ッ!泣いてないよ
待てよ山口…
待たない!
ダッ!
お、お客様!お金…
僕が払いますので
あ、はい…
何かあったのか
…
おい…!聞いてんのか
恭平。少し待て。
…ごめん
山田君
…何だよ
増田くんについて、教えてほしいな
…なんで?
いいから!教えてやれよ!
アイツは自由奔放でチャラチャラしてて…でもな
女だけは大事にするぜ?
何?桐谷さん増田に惚れた系?
違う。
友達に勘違いされたの
あ~っ。山口さんのことか
山口は颯が好きなのか
そ、そうみたいなの
でも!緋色や増田君には内緒だからね
わーってるよ
わかった。
それで、緋色が勝手に泣いて出ていって
女って面倒くさi
黙れ。
はい。
まぁ、…仲直りできるといいな
俺もそんな風にしか言いようがないわ
うん。ありがとう
またね
おう!またな!
またな!
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。