あれから数日、無視をしていただけの3名を除き、いじめていた女子達は全員出席停止処分になった。
沙月へのいじめは完璧になくなり、また彼女に自然な笑みが戻ってきている。
久しぶりに平和な学校生活を満喫している。
けど……。
私がしたことは学校中で噂になり、尾ひれがついて、不良扱いされるようになっていた。
怒りをぶつけてしまったのだから、自業自得ではある。
先生にもたくさん注意されたけど、私は別に後悔はしていない。
沙月はずっと、やられっぱなしだったんだ。あれくらいはしないと気がすまない。
江川は机に突っ伏して顔を隠してしまう。
けど、沙月はなにか言いよどんでるようで、気まずそうに口を開く。
沙月は今にもしぼんでなくなってしまいそうな声を出し、勢いよく頭を下げて「ごめんね」と言った。
きっと、飲み込まずにネガティブな気持ちを言ってみたんだろう。
そんなところも可愛くて良い子だな、と思う。
沙月は初めて話したときよりも幸せそうに微笑みかけてくれた。
私もこんなに仲良くなれるとは思っても見なかった。
きっと、2人が居てくれるから、あんな噂があっても楽しく過ごせている。
私はその言葉を聞いた瞬間に、江川の額を人差し指で弾いた。
友達がいらないなんて、やっぱりそんなことはない。
1人だと足りないところがあって、きっと、そんな時に助けてくれるのが友達だ。
また辛いことがあっても、沙月と江川がいてくれれば乗り越えられる。
大切な友達ができて、私は今すごく幸せだ。
☆
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。