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第16話

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" もうヒトリじゃないよ "














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心春
うーちゃん
心春
私たちの『へや』に行こ
あの日みたいに。

クシャッとした笑顔で。

心春が私に手を差し出す。

私は心春に手を預ける。

あのときは、引かれるままだった手。

だけど、今は。

ギュッと手を握り返す。

暖かい心春の手。

心春は私の方を見て、また笑う。

小さなえくぼができる。

この笑顔に何度救われたんだろうね。



うん

私と心春は手を繋いで歩く。

私たちの『へや』へ。

旧校舎三階の一番端の教室。

私と心春のヒミツ基地。

とっておきの『へや』

傷を癒やす『へや』

お菓子を食べた『へや』

約束をした『へや』

ハグをした『へや』

キスをした『へや』

2人っきりの『へや』

2人で笑いあった『へや』



ガラッ



2人でドアを開ける。

モアッとした風が私たちを取り巻く。

やっぱり暑いな。

でも、今はそれがいい。

この『へや』らしいから。

さあ。

ドアをしっかり閉めて。

鍵をかけて。

閉じ込められた密室。

私たちだけの。

2人っきりの時間。

心春
うーちゃん。
おいで


心春が手を広げる。

この腕の……心春の温かさに。

優しさに。

甘えてもいい……?

心春っ!


私は心春を強く強く抱きしめる。

心春、心春!

ごめんね……ごめんね。

心春が触ってくれた髪を。

心春が綺麗だと言ってくれた髪を。

私は守れなかった。

それに……

心春がいるのに。

この世界には心春がいるのに。

死にたいなんて思ってしまった。

心春を……置いていこうとした。

『永遠に一緒にいる』って約束したのに。

ごめんね……。

ごめんなさい。
心春
うーちゃん。
泣かないで

心春が私を抱きしめてくれている。

温かい体温を直に感じる。

頭をよしよしと撫でてくれる。

ああ……

こんなことされたの初めてだ。

私が苦しんでいたって、誰もが素通りした。

私は「涙」なんて知らなかった。

だけど……

今は「涙」が止まらない。

だって、こんなに温かいんだから。

愛されているから。

心春がそばにいてくれるから。



心春


誰が付けたのかもわからない、私の呼び名。



今は、私の世界で一番大切で。

世界で一番愛おしい人が呼んでくれている。

「初」は私の名前だって、はっきりと言える。



















心春
好きだよ