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第10話

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" 私をヒトリにしないで "













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×××
おい!逃げるのか
×××
うちらに反抗するなんか100年早いって(笑)


ダンっ……!


殴られた。

頭が壁に打ち付けられる。

痛い……?

もうそんなの感じない。

だって……早く行かないと。

心春はきっと……ずっと待っててくれてるから。

なんで、こんなに心春のこと信じてるんだろう?

待ってないかもよ?

口だけかもよ?

ちがう。

……心春は待ってる。

心春はそんな人じゃない。

私のただの思い込みでも。

それでも行かなきゃ。

心春を……「ヒトリ」にしちゃいけない。

……っ!


私は「私をモノとしか見ていない奴ら」がよそ見している間を見て、逃げ出した。
×××
おいっ!待てよ!!

あいつらは叫んではいるけど、追っては来ないだろう。

私は走る。

逃げる。

逃げる逃げる逃げる。

あの『へや』めがけて。

心春のもとへ向かって。

私は走る。

新校舎を抜けて、旧校舎に入る。

ギシギシとなる廊下を走り。

階段を2段飛ばしで駆け上がる。

旧校舎三階の1番端の『へや』。

心春が待ってる『へや』。














心春……!





……やっぱりいた。






心春
来てくれたの……?


昨日の態度からは想像もつかないような、弱く小さな声だった。
心春が来てって……言ったんでしょ?

私は息を整えながら言う。

目の前にずっと会いたかった心春がいる。

なんで……こんなに心春に執着してるんだろうね。

でも……やっぱり待ってたじゃん。

心春はバカだから……。

いつまでも待つんだろうな。

お菓子、たくさん買うんだろうな。

また……私に笑いかけるんだろうな。
心春
私……あなたの名前が知りたい
私の名前……?

"お前"


"モノ"


"ゴミ"




もう何も感じなくなってたけど。

私の名前をちゃんと呼んでくれた人っていたっけ?

私の名前を気にする人なんて、いなかったはず……。

でも……心春は違うんでしょ?
うい
心春
う……い?
そうだよ
初だよ!


ああ……

自分でもわかった。

高校生になって……初めて笑った。

微笑んだ。

本当に自然に。
心春
初!
笑った方がかわいいね


そう言ってクシャッ笑った心春の方が可愛かった。

やっと……心春の本当の笑顔が見れた。

この笑顔を見るためだけに、どんなに悩んで走って……。

でも、今最高に幸せ。

私の幸せは心春の横で心春を笑顔にすることなんだ。

心春
うーん……
でも初は普通かな??
よしっ!うーちゃんにしよっ
うーちゃん!?
やめてよ!恥ずかしい!
心春
うーちゃん!うーちゃん!
もう////
お菓子食べよっ!


心春の目が見開かれ、一瞬潤んだように気がした。

でも、それは気のせいだと思う。
心春
うん!食べよ


心春があの笑顔で笑ったから。

その笑顔が好きだよ。














この日から、私と心春の時間が始まった。

明るい心春と冷たい私。

全然似てないけど。

本質的な何かが似ている気がするんだ。

心の奥に深い悲しみを持ってる。

だから、2人で一緒にいて。

傷を癒やすんだ。

私と心春の2人っきりの時間。

私と心春の2人っきりの『へや』。












さあ、今日も放課後がやってきた。
心春
うーちゃん
心春




ギュッ……







ずっと一緒だよ。


大好きな心春。