第3話

好きだから
1,404
2019/01/18 23:22
朝起きると、シャワーの音が聞こえた。
あなた
あなた
おはよう…ございます。
先輩はシャワーを浴びているらしい。

テーブルの上には朝ごはんが準備されていた。

ソファの上には、畳んであるYシャツがあった。

私は無意識に手が伸びていた。
Yシャツを手に取って抱きしめていたその時
中村倫也
中村倫也
何してる。変態
あなた
あなた
せ…先輩!?た…たまたま?あ…あった
中村倫也
中村倫也
動揺し過ぎだ。早く貸せ、寒い。
その時私は見てしまった。先輩…下はズボンなのに…上は…は…裸?!
中村倫也
中村倫也
ジロジロ見るな。気色悪い。忘れたんだ、
私の手から奪い取るとボタンを閉める先輩。
中村倫也
中村倫也
ったく…朝から。早く食え、冷めるだろ。
あなた
あなた
い…いただきます!
私はとてもドキドキしながら朝ごはんを食べた。
あなた
あなた
お…美味しかったです!
中村倫也
中村倫也
そうか。良かった
いつものようにクールに接して、お皿を洗う。

私も寝室で着替えて先輩の元へ向かう。

上着を羽織ろうとする先輩。
あなた
あなた
あ…あの!
中村倫也
中村倫也
なんだ。
あなた
あなた
抱き着いて良いですか?!
中村倫也
中村倫也
はぁ?!
あなた
あなた
失礼します!!
私はYシャツ姿の先輩に抱きついた。
中村倫也
中村倫也
おい、馬鹿。さっさと行くぞ。
引き離そうとせずに上着を羽織り、鏡の前に立つ。
中村倫也
中村倫也
おい、見てみろよ。お前の抱き着いてる姿。子供かよ。
あなた
あなた
べ…別に子供でも良いです!!
中村倫也
中村倫也
はいはい。わかったから行くぞ。
私達は荷物を持って家を出て、先輩の車に乗る
あなた
あなた
あ…あの、
中村倫也
中村倫也
ん?
あなた
あなた
昨日の…奥さんとは大丈夫でした?
中村倫也
中村倫也
あぁ。どうせまた来るだろうな。だけどよりを戻す事は無い。
あなた
あなた
そ…そうですか。
中村倫也
中村倫也
はぁ…何回も言うが、人の恋愛に踏み込む前に自分の恋愛しっかりしとけ。
あなた
あなた
先輩って!鈍感ですよね!!
中村倫也
中村倫也
あ?
私はそう言うと、車を降りて会社へ向かった。
中村倫也
中村倫也
おい、どういう事だよ。
あなた
あなた
さぁ。先輩頭良いから分かるんじゃないですか?
そのまま部署に向かう。
あなた
あなた
おはようございます!!
先輩と部署に入ると皆の視線が集まった。
あなた
あなた
ど…どうかしました?
先輩は気にせず自分の席に着く。

私は同僚に連れられて、
『何?付き合ってんの?』
あなた
あなた
え?!
『だって一緒に帰って、一緒に来たって事は…泊まったの?!』
あなた
あなた
あ…付き合っては無いよ?!ただ、料理を教えて貰ってるだけなの!
『本当に〜?』
あなた
あなた
本当!
『でも、中村さんはやめといた方が身のためだよ?』
あなた
あなた
え?
『元奥さんも怪しい人って噂だし、中村さんも、いい噂聞かないし?』
あなた
あなた
そうなんだ…
私は気にせず、先輩の前に座った。
先輩は何も言わずパソコンに集中していた。
中村倫也
中村倫也
分かっただろう。
あなた
あなた
え?
中村倫也
中村倫也
俺の事を好きになるのはやめておけ。
誰も喜ばない。勿論俺もだ。
あなた
あなた
あんな噂なんか、信じませんから!
そう言っても彼はパソコンから目を離さなかった。

気まづいままで昼休みを迎えた。

勿論誘うつもりだったのに、先輩は珍しく外に食べに行くらしかった。

昼休みが終わり仕事に取り掛かる。

私は同僚の元に向かった。
『あ!あなた!さっき外で中村さん見かけたんだけど』
あなた
あなた
珍しく外で昼食らしいね。
『しかも、めちゃくちゃ美人な女の人と』
あなた
あなた
え?
『ん〜…腕組んでたから新しい彼女?』
あなた
あなた
ど…どんな人?!
『派手目なコートに、綺麗な黒髪の赤いハイヒール!』
あなた
あなた
赤い…ハイヒール。
『中村さんってあんな人がタイプなんだね…笑』
あなた
あなた
それ、多分元奥さん
『え?!あれが…?』
あなた
あなた
うん。多分だけど。でも…なんで
『より戻すのかもねぇ』
あなた
あなた
戻さないって言ってた。
『えぇ?じゃあ…なんで?』
あなた
あなた
分かんないよ…
『好きならちゃんと聞いてみたら?』
あなた
あなた
でも、あまりプライベートに触れても嫌われる。
『はぁ…もう!』
すると、立ち上がって先輩の元へ向かっていく。
『中村さん。』
中村倫也
中村倫也
はい?
『さっきの美しい女性。誰ですか?』
中村倫也
中村倫也
あぁ…彼女です。
『やっぱり。元奥さんは完全に振ったんですね?』
中村倫也
中村倫也
とっくの昔に用済みですから。それだけか?
『あなた!あとは自分で聞いてね?』
あなた
あなた
う…うん。
中村倫也
中村倫也
なんだ。同僚をも使って聞くことか?
あなた
あなた
新しい彼女。ですか。
中村倫也
中村倫也
勝手だろう。
あなた
あなた
なんで、皆赤いハイヒール履いてるんですか?
中村倫也
中村倫也
赤いハイヒール……。
あなた
あなた
偶然とは思えない。
中村倫也
中村倫也
たまたまだろう。
先輩はまたパソコンに目を向け、それ以降何も話さなかった。

そして、また帰りになる。

あなた
あなた
先輩!!
中村倫也
中村倫也
今日はお前の家なら良いぞ。
あなた
あなた
え?
中村倫也
中村倫也
なんだ。
あなた
あなた
彼女に怒られます。
中村倫也
中村倫也
バレなきゃいい。
そう言う先輩は、いつもとは違った。
あなた
あなた
やっぱり…良いです。
中村倫也
中村倫也
そうか。じゃあ…またな。
あなた
あなた
あ…やっぱり!来てください!
中村倫也
中村倫也
どっちなんだ。
私は先輩の車で私の家に向かった。
あなた
あなた
先輩の家より広くも無いし綺麗でも無いですから
私は先輩を家に入れた。
中村倫也
中村倫也
別に構わない。泊まるつもりは無いからな
あなた
あなた
そうですね!
私達は明日の弁当の準備と夕飯の支度をする。
あなた
あなた
せ…先輩!これって……先輩?

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