朝起きると、シャワーの音が聞こえた。
先輩はシャワーを浴びているらしい。
テーブルの上には朝ごはんが準備されていた。
ソファの上には、畳んであるYシャツがあった。
私は無意識に手が伸びていた。
Yシャツを手に取って抱きしめていたその時
その時私は見てしまった。先輩…下はズボンなのに…上は…は…裸?!
私の手から奪い取るとボタンを閉める先輩。
私はとてもドキドキしながら朝ごはんを食べた。
いつものようにクールに接して、お皿を洗う。
私も寝室で着替えて先輩の元へ向かう。
上着を羽織ろうとする先輩。
私はYシャツ姿の先輩に抱きついた。
引き離そうとせずに上着を羽織り、鏡の前に立つ。
私達は荷物を持って家を出て、先輩の車に乗る
私はそう言うと、車を降りて会社へ向かった。
そのまま部署に向かう。
先輩と部署に入ると皆の視線が集まった。
先輩は気にせず自分の席に着く。
私は同僚に連れられて、
『何?付き合ってんの?』
『だって一緒に帰って、一緒に来たって事は…泊まったの?!』
『本当に〜?』
『でも、中村さんはやめといた方が身のためだよ?』
『元奥さんも怪しい人って噂だし、中村さんも、いい噂聞かないし?』
私は気にせず、先輩の前に座った。
先輩は何も言わずパソコンに集中していた。
そう言っても彼はパソコンから目を離さなかった。
気まづいままで昼休みを迎えた。
勿論誘うつもりだったのに、先輩は珍しく外に食べに行くらしかった。
昼休みが終わり仕事に取り掛かる。
私は同僚の元に向かった。
『あ!あなた!さっき外で中村さん見かけたんだけど』
『しかも、めちゃくちゃ美人な女の人と』
『ん〜…腕組んでたから新しい彼女?』
『派手目なコートに、綺麗な黒髪の赤いハイヒール!』
『中村さんってあんな人がタイプなんだね…笑』
『え?!あれが…?』
『より戻すのかもねぇ』
『えぇ?じゃあ…なんで?』
『好きならちゃんと聞いてみたら?』
『はぁ…もう!』
すると、立ち上がって先輩の元へ向かっていく。
『中村さん。』
『さっきの美しい女性。誰ですか?』
『やっぱり。元奥さんは完全に振ったんですね?』
『あなた!あとは自分で聞いてね?』
先輩はまたパソコンに目を向け、それ以降何も話さなかった。
そして、また帰りになる。
そう言う先輩は、いつもとは違った。
私は先輩の車で私の家に向かった。
私は先輩を家に入れた。
私達は明日の弁当の準備と夕飯の支度をする。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。