第4話

山田さんにひたすら想われ続ける
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2018/04/05 09:26
泣き続けたせいか目も充血していて


見るに見られないほど痛々しい姿。



そんな君を目の前に自分は一体何ができるというのだろうか。
涼介
あなた…
あなた
涼、介

そんな彼女に後ろから声をかければ



案の定かすれた声で返事が返って来る。




そんな彼女を見ていたら自然と言葉が出てしまっていた。

涼介
もうあいつの事なんて忘れろよ
あなた
なに、急に…

そういって笑う彼女はとても弱々しくて見ていられない。
涼介
あの男はお前の事なんて何も考えてないんだよ。わかるだろ?
あなた
お願いだからあの人の事を悪く言わないで。
涼介
いい加減気づけよ

お願いだから気づいてくれ。


これ以上あいつと一緒にいたら


本当に君が駄目になってしまいそうで俺は怖くて堪らないんだ。
あなた
そんなこと言われなくても本当は分かってたよ、最初から
涼介
だったら、
あなた
でも、それでも私はあの人の事が好きだから


どうしてこんな事になってしまったのだろう。


俺はこいつをこんなにしたその男が憎くてた堪らなかった。


どうしてこんなにも彼女から想われているのに大事に出来ない?



俺だったらこんな悲しい思いを絶対させたりなんかしない。


絶対にだ。



あんな奴止めて俺にしろよ。



そう言って本当は今すぐにでも君を奪ってしまいたい。



だけどいざと言う時に限って臆病な俺は結局その一言が言えずにいる。

あなた
…ごめんね、涼介


そう言って綺麗に微笑む彼女は俺の気持ちを全て見透かしているようで、
あなた
私には、あの人しかいない


彼女に突きつけられた現実は余りにも残酷で、




所詮俺と云う人物は彼女の中で小さな存在でしかないと改めて実感させられる。




俺本当はお前があいつを好きになるずっとずっと前からあなたの事が好きだったんだよ。







この恋の行方は、
(終わりの見えない迷路の様)

涼介
僕がもう少し強い男だったら君を奪えたはずなのに。

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