第13話

友達(叶&悠希&結菜)
97
2018/08/23 08:22
あれから、私は悠希と話してない。
学校で会っても、無視したり、されたり…
紺野結菜
紺野結菜
…それはどっちも悪いんじゃない?
結菜に話すと、そう言われた。
紺野結菜
紺野結菜
だって、叶の言い分も分かるけど、悠希くんも必死だったんじゃない?
叶
…もちろん、悠希が100%悪いなんて思ってないよ
篤哉颯天
篤哉颯天
でも、なかなか自分から謝る勇気が出ないんだよね~
叶
そうそう!…ってあれ?
紺野結菜
紺野結菜
篤哉くん!
篤哉颯天(とくやそうま)くんは、私のクラスメートで、悠希の友達。
篤哉颯天
篤哉颯天
あいつも、「ちょっと言い過ぎた」って言ってたよ?
叶
そっか…
少し安心した。
篤哉颯天
篤哉颯天
てかさ、単刀直入に聞くけどさ、七瀬さんって悠希のこと好きなんでしょ
叶
え⁉
篤哉颯天
篤哉颯天
ずっと見てたら分かるよ
叶
ずっと見てた…って…
篤哉颯天
篤哉颯天
俺、七瀬さんのこと好きだよ
叶
え…
篤哉颯天
篤哉颯天
まじで
叶
…でも、私…
篤哉颯天
篤哉颯天
分かってるよ
正直に言うと、七瀬さんにも悠希にも幸せになって欲しいから
…でもさ、こういうのって、溜めておいたら絶対諦められないから、とにかく言いたくて
叶
…ごめん
篤哉颯天
篤哉颯天
そこは、「ありがとう」って言って欲しいな~
叶
…ありがとう
篤哉颯天
篤哉颯天
どういたしまして~
紺野結菜
紺野結菜
…綴雫って、ぶりっ子で有名な子だよね
篤哉颯天
篤哉颯天
…ああ
あの子も、外見はいいのに、性格が腐ってるね
悠希を脅して無理矢理彼氏にするなんて
叶
…え?悠希を脅す?
篤哉颯天
篤哉颯天
あれ、あいつから聞いてなかったのか
悠希ね、綴さんに脅されて、「私と付き合わなかったら、七瀬さんの秘密ばらす」みたいなこと言われて、無理矢理彼氏になったんだって
紺野結菜
紺野結菜
え、それ初耳
叶
…多分、悠希はそのことを私に知られたくなかったんだと思う
篤哉颯天
篤哉颯天
おー!さすが幼馴染みだね
叶
私…綴さんと話して来る
紺野結菜
紺野結菜
…気をつけてね
叶
うん
私は、小走りで綴さんの元へと向かった。
綴雫
綴雫
…話って?
叶
…綴さん、テキトーなこと言って、悠希を困らせないで欲しい
綴雫
綴雫
…何のこと?
叶
…聞いたよ
「付き合わないと、私の秘密ばらす」って言ったんでしょ
綴雫
綴雫
…っ、それで?
付き合ったのは、上原くん自身の意思でだよ?
叶
…それは、私を守るため
悠希は、あなたみたいなタイプの女子苦手なの
綴雫
綴雫
…でも、私と上原くんは事実上、付き合ってるし、七瀬さんの秘密だって、ばらしてないのに、これ以上何の文句があるの?
叶
…まず一つは、あなたは私の秘密なんか知らないのに、そんなテキトーなことを言って、悠希を従わせた
叶
もう一つは、あなたは悠希の気持ちを無視している
綴雫
綴雫
…悠希くんの意思で付き合ったって言ってるじゃん
叶
確かに、それは悠希の意思
でも、それは悠希の気持ちじゃなくて、私への思いやり
綴雫
綴雫
意思?気持ち?
どっちも同じじゃん
叶
…全然別物
意思は、考えだけど、気持ちは、本当の自分の思っていること
綴雫
綴雫
…うるさいな
突然、綴さんがポケットからハサミを取りだし、振り上げた。
上原悠希
上原悠希
おいやめ…
篤哉颯天
篤哉颯天
やめろ!
叶
…っ!
刺される覚悟で目をつぶった瞬間、私の前に影が現れた。
廊下に、ビリっという音が響いた。
綴雫
綴雫
…う、上原くん…篤哉くん…
篤哉颯天
篤哉颯天
七瀬さん大丈夫?
叶
…う、うん
でも、篤哉くん…
篤哉くんの服の袖が破れて、出血している。
篤哉颯天
篤哉颯天
これくらい大したことないよ
叶
…ごめん
篤哉颯天
篤哉颯天
七瀬さんは悪くないよ
上原悠希
上原悠希
…綴
悠希が綴さんに向き直る。
悠希の額からも、出血していた。
綴雫
綴雫
…その、これは…
上原悠希
上原悠希
…言い訳はいいから、叶に謝って
「叶」…久しぶりに悠希に呼ばれた名前は、いつもより特別に感じた。
綴雫
綴雫
…ごめんなさい
叶
…うん
いいよもう
上原悠希
上原悠希
あと…俺、綴と別れる
だから、もう俺と叶に関わらないで
綴雫
綴雫
…それは無理です
篤哉颯天
篤哉颯天
なんで?
綴雫
綴雫
…っ、七瀬さんには、もう関わりません
でも、上原くんは…好きだから…っ
綴さんが泣きながらそう言った。
上原悠希
上原悠希
……
悠希は、何かを考えている。
綴さん、本当に悠希のこと好きなんだ…。
上原悠希
上原悠希
…じゃあ、友達ってことでいい?
綴さんの瞳が、一瞬でキラキラ輝いた。
綴雫
綴雫
…もちろん!
…綴さんがそう言うと、悠希は優しく笑った。

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