薔薇ちゃんは時々痛そうな顔をしながら話し始める。
薔薇ちゃんの頭を撫でつつ聞く。
薔薇ちゃんは血と一緒に花を吐いた。
美しい花に見とれてしまった。
薔薇ちゃんは小さくはにかんで紙切れを俺に渡した。
そのまま唇を重ねた。
初めてのキスは血と、花粉のような味がした。
薔薇ちゃんはまた血を吐いて苦しそうにし…
もう話さなくなった。
ただ涙だけが溢れてくる。
好きだ。薔薇ちゃん。もっと話したい。ずっと一緒にいたい。薔薇ちゃんしか俺を見てくれないんだ。
でもその薔薇ちゃんはもういない。
俺は紙切れを開いて中身を見た。
涙で視界がぼやけて見辛かったがちゃんと思いは伝わった。
そう言って俺は薔薇ちゃんが落とした草を持って二階の窓から飛び降り、草で首を切った。
耳に慣れた、そんな声がした気がした。
the end
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。