第10話

本命の彼に告白しました!
5,802
2019/12/06 09:56


行きつけのコンビニ、その裏に彼を呼び出した。

私はずっと返せなかったハンカチをぎゅっと握りしめて一世一代の告白をする。
恋花
恋花
あの、ず、ずっと好きでした!
このハンカチも、返せなくて…
ありがとうございました!
コンビニ店員さん
コンビニ店員さん
え…あ、うん!
恋花
恋花
すみません、
お仕事中に呼び出してしまって…
じゃ、私はこれで!!
コンビニ店員さん
コンビニ店員さん
あ…ちょっと!

そう、私の片思いの人はコンビニの店員さん。


3年前このコンビニで一目惚れをした。

王子様みたいな優しい笑顔、でもなぜか少し寂しげな泣きぼくろが印象的だった。

でも話しかけることはおろか、見つめることしかできなかった。
恋花
恋花
(でも…やっと思いを伝えることができた。これもイケMENたち、いやロキのおかげだな)
恋花
恋花
(これですっぱり諦めがつく…)

逃げるように走り去ろうとしたその時、彼が私の手首をぐっと引っ張った。


恋花
恋花
ひゃっ!!え、あ…!

くるりと振り返ると、目の前に彼の顔。
コンビニ店員さん
コンビニ店員さん
…待って!逃げないで
恋花
恋花
(ち、近っ!)

バクバクとうるさい心臓の音。

その向こうに彼の声が聞こえる。
コンビニ店員さん
コンビニ店員さん
いいよ
じゃあまずは明日デートしない?
恋花
恋花

にっこりと品のある王子スマイルを浮かべた彼は、私の顔を覗き込む。

想像もつかなかった返答に頭の中は真っ白だ。
コンビニ店員さん
コンビニ店員さん
実は僕も君のこと気になってたんだ
最近はカップ麺にハマってる?
恋花
恋花
え?
コンビニ店員さん
コンビニ店員さん
何買ってるか覚えちゃうくらいには
……僕も気になってる

少し頬を染めて見つめてくる彼に思わず見惚れてしまう。

恋花
恋花
(レジ越しじゃ気づかなかったけど背、意外と高いんだ……)
恋花
恋花
(って、そうじゃなくて指輪!!)
恋花
恋花
あの、じゃ…その薬指の指輪は?
コンビニ店員さん
コンビニ店員さん
指輪…あーこれ? 
これはお守りっていうか、母さんの形見
恋花
恋花
……形見?
コンビニ店員さん
コンビニ店員さん
うん。なんか、
はめてみたら抜けなくなっちゃって
あはは…

少し恥ずかしそうに笑った彼。

意外とおっちょこちょいな一面をみて、更にまた好きが膨らんだ。
コンビニ店員さん
コンビニ店員さん
お守りだし
無理に外さなくてもいいかなって
恋花
恋花
そ、そうだったんですね!
恋花
恋花
(な、なんだーーーー!!)

ずっと勘違いしていた自分が恥ずかしい!

握られたままの手首に視線を落とすと、またぐっと引き寄せられてキョリが縮まった。
悠真
悠真
僕、悠真
明日のデートどこ行こっか?












……
…………

翌日、初めての彼氏とのデート。

待ち合わせの駅前では、通り過ぎる女の子達が彼を何度も振り返るほど、注目を集めている。

悠真
悠真
昨日は急にデート誘っちゃって
ごめんね?
私服の彼はコンビニの制服より、もっとずっと大人に見えた。
悠真
悠真
ほら、おいで?
恋花
恋花
わっ!


水族館への道中は、自然と悠真さんに手を引かれる。

ずっと好きだった人が彼氏だなんて夢みたい。



薄暗い大水槽の前で、悠真さんの横顔にキラキラと水の光が反射している。
恋花
恋花
(悠真さん…綺麗。でも目を離すと消えちゃいそう…)

まるで水の国の王子様みたい。

ま、まさかこれ、幻じゃないよね?!
思わず不安になって聞いてしまう。
恋花
恋花
悠真さんは
突然消えちゃったりしないですよね?

恐る恐る聞くと、彼は爽やかな笑顔を浮かべた。

悠真
悠真
え? なにそれ、
そんなワケ無いでしょ?
恋花
恋花
ですよね……
今のは忘れて下さい!
悠真
悠真
恋花、何か僕に隠してる?
恋花
恋花
へっ?!


じっと目を見つめられると、心の中を見透かされそうで少し怖い。

一瞬、ギラリと彼の目が光った。
恋花
恋花
あれ…今目が光って
悠真
悠真
ん?
恋花
恋花
いや、なんでもないです


なぜかロキのことを思い出して、もう会えないことに少しだけ悲しくなった。

悠真
悠真
ねぇ、恋花はちゃんと僕の事好き?
恋花
恋花
な、何言ってるんですか!
当たり前じゃないですか!
悠真
悠真
恋花が他のやつのこと考えるとか
ちょっとつらいな
オレ、結構執着すごいからさ
恋花
恋花
え……今なんて?

水族館の雑踏で、最後が聞き取れなかったけど彼の横顔がなんだか寂しそうでーー
恋花
恋花
私は、す、好きです!

ぎゅっと目を閉じて、彼の頬へとキスをする。
悠真
悠真
……!
悠真
悠真
残念、唇じゃないんだ?
次は期待してるね
恋花
恋花
か、覚悟しておいてください!


そう言うと彼は、なぜか嬉しそうに笑った。










ーー
ーーーー


一方その頃コンビニでは、いつもどおりの夕暮れ時。
店長
昨日は急なシフトなのに
入ってもらって助かったよ~
悠真
悠真
は? 
何言ってんスか
僕、昨日は家で彼女と
ずっとダラダラしてましたよ
店長
え、……入ってくれたじゃん
女の子に呼び出しまでくらってたくせに
悠真
悠真
は!?
てんちょーついにボケました?!
女の子?!僕、婚約者一筋ですよ
店長
え…じゃあ昨日のあれって……





私がロキの執着に気づくのは、またずっと先のお話。


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