モクモクと部屋中に立ち込める湯気の中、
もうイケメンには惑わされないと心に誓う。
湯気から現れたのは、どこか冷めたような目元にメガネをかけた男の人。
博識そうなスーツ姿は、学校の先生みたい。
出てきてそうそう、先生ばりの厳しい口調で子ども扱いされて少しむっとする。
ずいっと彼の目の前にせまると眉根がぴくりと動いた。
ふいっと目を逸らしたのは嘘の証拠。
でもどんなに過去をさかのぼっても、こんなイケメン教師には会ったことがない。
どんっと彼の胸を押した。
ベッドに転がった彼の上に跨って、しめしめとほくそ笑む。
のしかかってぐっと顔を近づけると、彼は冷静な表情を崩した。
今、ガキって言われたような…
バシ!!
ヒリヒリと痛むお尻に、またダイキさんの容赦ないお尻ペンペンが振ってくる。
痛みと恥ずかしさからいつの間にか彼のペースだ。
悔しがりつつ身を引いた時、彼の首元が微かに赤く染まっているのが見えた。
じりじりと顔の前まで迫ると、彼は慌てふためく。
そう言えば、イケメンとも難なく話せるようになっている。
過去の自分が見たらびっくりするだろう。
これも不思議なカップ麺「イケMEN!」のお陰かもしれない。
ジタバタと暴れる彼を更に追いつめると、
彼の目が一瞬ギラりと黄色に光った。
ボンッ!!
目の前のダイキさんは湯気を纏って爆発した。
その反動で私はベッドの下へ背中から転がり落ちる。
不思議と背中を打つ痛みはなくて、すべすべの膜みたいな何かが守ってくれている。
目の前で心配そうにこちらを見下ろすのは、角の生えた男。
そしてなぜかその低い声は聞き覚えがある。
目の前の彼は逃げるように背を向ける。
私はとっさに彼のお尻から生える尻尾のようなものを両手で掴んだ。
私の手から逃れようとバサバサと頭上で暴れる彼。
なぜか顔が真っ赤に染まっていく彼は、ギラギラ光るネコみたいな黄色い目で私を睨んだ。
そう、猫みたいな……ん?
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。