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第7話

セクシーなオネエ彼氏にお説教されました
「お前は一度死んでいる」

ぐるぐるとその言葉の意味を考えていたせいで、昨日の夜から一睡もできなかった。

恋花
恋花
お母さん……私って生きてるよね?
お母さん
なあに? おはようも言わずに! 
休みの日だからって寝ぼけすぎよ
恋花
恋花
うっ、おはよう
恋花
恋花
(やっぱりそうだよね…どこをどう見ても、私生きてるよね?!)
恋花
恋花
(もしかして、道路でネコを助けた日に私は死んでいて…この世界は天国?!)

カップ麺でイケメンがお手軽に楽しめる天国とはこれいかに……。

そんなピンポイントな天国ある?!
と内心ツッコミをいれつつ、らちが明かなくなった私はまた、例のカップ麺に答えを求めた。


     モクモク

              モクモク

     モクモク

             モクモク


大量の湯気が部屋を包み込むのにも、慣れたものだ。

現れたのは、長い髪に少し中性的な色素の薄い儚げなイケメン。

切れ長のアッシュグレイの瞳からは、そこはかとなく色気が滲んでいる。
??
??
っやだ!
何この、ねこグッズだらけの部屋!
だっさいわね…


形のいい唇から飛び出したのは、毒舌なオネエ言葉。


不躾な目線でぐるりと部屋を見渡すイケメンは、少し眉根を寄せてこちらを見た。
チアキ
チアキ
あたし、チアキ
こう見えて男だから…油断しないでね?
それにしても、アンタ変な顔!

むぎゅっと頬をつねられて見惚れていた自分に気づく。
恋花
恋花
わっ、そうだ……! 
チ、アキさんに聞きたいことが!
チアキ
チアキ
なによ突然……
恋花
恋花
私って生きてるんでしょうか?!
チアキ
チアキ
は? 
誰に何を言われたか知らないけど…

突然ぐっと近づかれたと思ったら、チアキさんは私をすっぽりと腕の中に閉じ込めた。

恋花
恋花
え?! あ、ああああの!
なんで抱きしめるんですか?!
チアキ
チアキ
あら、脈を測ってるだけなんだけど……
恋花
恋花
みゃ、脈……?!
こんなことしなくても……!

ふわりと私を包む、少しセクシーでフローラルな香水の匂い。

自分の脈を意識しすぎて、ドキドキと鼓動が速くなっていく。
チアキ
チアキ
あれ……?
もしかして、あたしにドキドキしてる?
恋花
恋花
……!

思わず顔を上げると目の前にチアキさんの綺麗な顔。

チアキさんの長い髪が私の頬をかすめた。
チアキ
チアキ
やだ可愛い~! 顔真っ赤よ?
こんなにドキドキしてるんだから
ちゃんと生きてるわ!
あたしが証明してあげる
恋花
恋花
そ、そうですよね…!
 

口から飛び出そうになっていた心臓をゴクンと飲み込んで、私は彼の腕から逃れようと身を引いた。


その時ーー

お母さん
恋花ーー?二階にいるんでしょ?!
洗濯するもの出しといてって
さっき言ったわよねー!?

階段をのぼる足音はお母さんだ。
恋花
恋花
ひ!!お母さん?!
恋花
恋花
(こ、この状況はやばい……!イケMEN!は他の人にも見えるらしいし…男を連れ込んでると思われちゃう!)
恋花
恋花
チアキさん!こっち!
チアキ
チアキ
え!ぅわっ!


私はチアキさんの手を引き、とっさに押入れの中へと隠れる。




むぎゅう……

狭い押入れの中、なぜか正面からチアキさんに抱っこされる態勢になってしまった。
チアキ
チアキ
…意外と積極的ね
暗がりなんかに連れ込んで……
どうする気?
恋花
恋花
しーー! 
ちょっと黙って下さい!
チアキ
チアキ
むぐっ!


ドタバタとお母さんの足音が近づいてくる。

その足音はちょうど押入れの前で止まった。

恋花
恋花
……!
お母さん
あら? 恋花ーー?
まったく、出かけたのかしら……


徐々にお母さんの足音が遠ざかり、ほっと一息ついたその時…
チアキ
チアキ
ぺろ…
恋花
恋花
ひゃあっ!!


口を塞いでいた手の平をチアキさんが舐めた。

そのせいでバランスを崩して、目の前の彼の胸に突っ込んでしまう。
チアキ
チアキ
あたしのことナメてるわね?
恋花
恋花
な、舐めたのはチアキさんじゃ……!
チアキ
チアキ
そうじゃないわよ
あたしのこと、
オトコだと思ってないでしょ?


いつのまにか背に回されていた腕は思ったより固くて、身を引けない。

薄暗い押し入れの中、そしてゼロキョリの密着度にぼっと顔が熱くなった。
チアキ
チアキ
アンタにはお説教が必要ね
恋花
恋花
ひっ!! やめっ!


目の前のフェロモンの塊にバクバクと心拍数は上昇していく。

そして、チアキさんの眼がギラリと光った気がした。
チアキ
チアキ
アンタ、まだ失恋したオトコのこと
忘れられないんだって?
恋花
恋花
ど……どうしてそれを!
チアキ
チアキ
踏ん切りがつかないなら、
いっそ当たって砕けちゃいなさい!


暗がりのせいでチアキさんの表情は読めない。

でも、なんだか怒ってるみたい。
チアキ
チアキ
いいわ
告白の練習に付き合ってあげる
今試しに今、あたしに告白しなさい
恋花
恋花
え?! そんな急に言われても‥…!
チアキ
チアキ
“タイムリミット”
アンタはこれについてよく考えなさい!
ほらあたしだって、
あと30秒で消えちゃうんだから!

そういえば
もしあのネコを助けた時死んでいたら、
好きな人に一生思いを伝えられなかったんだ……。

車に轢かれた瞬間、すごく後悔したっけーー


チアキ
チアキ
恋花…
恋花
恋花
え?


顎を掬いあげられ、目の前には透き通るきれいな瞳。


チアキ
チアキ
ほら、早く好きって言え


思ったより低いチアキさんの声が、耳の奥に響いてドキリと心臓が跳ねる。
恋花
恋花
好き…‥です!


ぎゅっと閉じた目を開いた時、押入れの中にはもう、私一人だけだった。


また少し寂しさを覚えた時、ぽんと誰かに頭を撫でられたような感覚がした。