💙side.
深「翔太!早く今日のコンセプト伝えて」
変わり果てた蓮をボーと眺めている俺の肩を
ポンっと叩く
『あぁ…うん、』
スタッフさんと仲良さそうに話している蓮に
ゆっくり近づき
何て声を掛けよう、
"久しぶり"なんて言って蓮は俺の事
覚えているんだろうか。
『…すいません、今日のコンセプトなんですが、、』
怖くてよそよそしく今日のコンセプトについて
話す俺に蓮は驚く事無く聞き入れ
蓮「はい。わかりました。ありがとうございます」
なんて、ニコッと営業スマイルを俺に送る
昔の蓮はこんな笑顔じゃ無かったな。
なんて、思い返しても
蓮はきっと俺の事を覚えてない。
淡々と進んでいく撮影
蓮は台本通りに嬉しそうに笑ってて
いつから"俳優になりたい"なんて夢を
持っていたんだろうか。
昔は、、、
蓮「翔太くんは将来したい事あるの?」
『うーん、俺は無いかな。蓮は?』
蓮「俺は翔太くんが隣に居てくれればそれだけでいい」
なんて、笑っていたのに。
ス「カット!チェック入りまーす!」
スタッフの声にパッと現実に戻る、
慌ただしくモニターの前に集まるスタッフ達
深「目黒くん襟少し治すね」
蓮「はい。」
ふっかは蓮と衣装のチェックをしていて
ふっかにニコニコ笑っている蓮を見ていると
"翔太くんが隣に居てくれればそれだけでいい"
なんて、言ってた蓮じゃ無いみたい。
俺が隣に居なくても幸せそうに笑う蓮
蓮の隣は俺じゃ無いって改めて言われているみたいで
心がチクリと痛くなる。
.
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。