💙side.
高校生の時、俺は好きで好きで
たまらなく好きな恋人が居た。
毎日が幸せでキラキラしていて
"翔太くん"って優しく呼ぶ声が大好きだった。
なのに"翔太くん別れよう"
そう言った君は突然俺から離れていった。
幸せでキラキラしていた世界は
一気に暗闇へと落ちていった。
もう、俺の人生でこれ以上の恋愛は
きっと経験することはないと思う。
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深「翔太!今日のキャスト」
そう言って俺に資料を渡す同僚のふっか
『…あぁ、ありがとう』
深「今すげ〜人気の新人俳優」
ペラペラ資料を捲り目を通す俺に
今日の俳優の事や仕事内容を伝えてくる
芸能関係の仕事につき
気づけば5年が経とうとしていた。
今日はCMの撮影で俺は朝からバタバタと
作業を進める
深「あ、来た。」
ふっかの言葉に資料から目を離し
新人俳優とやらに目を向けると
『……え、』
「おはようございます!目黒蓮です。」
「本日はよろしくお願いします」
そう言って深々と頭を下げる
5年前に別れた蓮が居た
深「今日はよろしくね〜!はい、これ衣装」
蓮「ありがとうございます!」
何も知らないふっかはいつもの様に
今日の衣装を渡す
そんなふっかに蓮はニコッと笑いかけた
昔と変わらない蓮の笑顔に
ギュッと締め付けられる俺の心臓
忘れられなかった。
忘れるはずがなかった。
凄く好きだったから、
大好きだったから、
なのに、久しぶりに会った蓮は
俺の知っている蓮とは遥かにかけ離れていた。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!