第37話

早く大人になりたい#6💜💙
5,887
2021/05/20 11:43
(💙side)


あれから月日は流れ
ずっと楽しみにしていた文化祭当日



俺のカフェは凄く好評で
長蛇の列が出来ていた



照「翔太!これ運んで!」


『うん!ありがとう!』



照はキッチンで俺はホール
皆がバタバタ働く中
先生は…




『失礼します!コーヒーとオレンジジュースです』


深「ありがとぉ」



そう言ってニコッと俺に笑いかけると
その視線はすぐ外され



深「阿部のも美味そう!」


俺にした同じ笑顔で阿部先生を見る


阿「ははっ、1口飲む?」


ストローから口を離し深澤先生の方を向け
首をコテンと横に倒す



深「えっ!いいの?やったー」


阿部先生が口を付けたストローを
先生は何も気にすること無く飲もうとした



『待って下さい!』


そんな先生達を見て気づけば声が出てた、



深「へ?何?」


キョトンとする深澤先生と
ニヤっと俺を見て笑う阿部先生




この人知っててやってるでしょ?



『新しいの持ってきます!』


深「え?いいよ!1口だけだから」


『僕が奢るんで!』



半ば強引にそう言い放ち
キッチンに走っていく



『照!オレンジジュースすぐ作って!』


照「え?どうした?」


『いいから!すぐ作って!』


照「あぁ、うん」


少し不思議に俺を見てから
チラッと店内に目を向けた照は
俺が言った通りにオレンジジュースを作る



照「ほらよ!」


『えっ、なにこれ』



オレンジジュースのストローに
ハートの飾り物が付いていて



照「ん?何って可愛いお客さん来たら付けようって話し合ったやつ」



ストローに付いていたのは
何日前に男子達がふざけて
"狙ってる子にこれ付けてだそうぜ!"


なんて言って作ってた
苺の香りのする飾り物、



『いいよ!こんなの付けなくて、』


照「どうして?深澤先生に渡すんでしょ?」


『だから要らないって、』


照「持って行ってみ?喜ぶから」



そう言ってニヤッと笑った後
照はまた忙しそうに仕事を始めた



『はぁ…、』



せっかく照が作ってくれたし
俺が取って捨てる訳にも行かず




これ…俺が好きってバレるじゃん、



なんて思いながらゆっくりゆっくり
先生に近づく




『失礼します、』



コントンっと机に置かれたオレンジジュースを
深澤先生と阿部先生が眺める



深澤先生は
チラッとハートの飾り物に目をやってから




深「ふふっ、渡辺ありがとう」



そう言って俺の頭を撫でた


真っ赤になる顔を見られないように
サッと先生から離れて俺は黙々と仕事をした




今日の後夜祭で俺は先生に告白する、






こんな風に笑って俺を見てくれたり
頭を撫でてくれるのは今日が最後かもしれない





それでも…



照「翔太には俺が居るから頑張っておいで」



そう言って背中を押してくれる照が居るから





俺は何も怖くない、




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