「DIOの体がジョナサン・ジョースターの肉体である限り、わしと承太郎の行動は奴に筒抜けじゃ。だから休む暇を与えず、我々を追ってくる。──しかし、DIOの考えを逆に読むことが可能じゃ。」
ポルナレフがDIOの手下である、呪いのデーボに襲われてから一日。
ジョセフは急にそんな事を言い出す。
「ポラロイドカメラを買ってきましょう」
そんなジョセフにアヴドゥルはそう提案するが、「それには及ばぬ。カメラが無くとも念写は出来る。」とジョセフに言われ、「え?」と声が零れる。
そう言った後ジョセフは、傍にあったブラウン管テレビに触り、ジョセフのスタンド、ハーミットパープルをテレビに巻き付ける。
『マイケルはまだか?マイケルはどこにおる?』
ガチャリ。
『今週の第三位は、先週から五ポイントのジャンプアップの!』
ガチャリ。
『本日の金相場は一オンス──』
ガチャリ。
『おーーい、ネコドラくーん』
ガチャリ。
バッ、バッと切り替わるテレビの画面に、アヴドゥルは目を丸くして、様子を見守る。
「なにか──チャンネルがメチャクチャに変わっているようですが・・・」
「現在チャンネルごとで喋っている色々な言葉を探して、文章にしようとしておる。念写というより、念聴だ。」
『我々の──』
ガチャリ。
『中に』
「来た!『我々の中に』と言ったぞッ!」
ガチャリ。
『裏』
『切り』
『者』
ガチャリ。
『──がいる』
「なんだと・・・・・・?今の文章は、いったい・・・」
「『我々の中に裏切り者がいる』と繋がって聞こえたが・・・」
ガチャリ。
『カ』
『キョー』
『イン!』
『に!』
ガチャリ。
『気を』
『つけろ』
ガチャリ。
『DI』
『O』
『の』
『手下』
『だ!』
「花京院!?な・・・なにィ!」
「ば・・・馬鹿なッ!花京院が手下ッ!?」
『裏切り者がいる。花京院に気をつけろ。DIOの手下だ。』その言葉が紡がれ終わった瞬間、バシ、バシと画面が暗くなり──、
「あっ!コイツはッ!」
『ジョセフ・ジョースター!貴様!見ているな!』
「DIO!」
「バレた!危ないッ!」
そう瞬時に察したアヴドゥルは、ジョセフをテレビから離す。
すると、数秒もしないうちに、テレビは見る影もなくなる程に爆破されてしまった。
「見ていることを感じて妨害したか・・・」
「し、しかしどういうことです!?」
「今聞いた通りじゃ!DIOのもつジョナサンの肉体はわしと不思議な絆で繋がっているが──わしのスタンド、ハーミットパープルがそれを読んだ・・・。花京院はッ!DIOの手下で我々を裏切っていると確かに言ったッ!」
そう言うジョセフに、アヴドゥルは「まさかッ!」と焦りを見せたままで否定をする。
「考えられん!心を操っていた肉の芽を抜いたし、ポルナレフから聞いた話ではあるが、闘いの手助けもしていたと聞いている!それが裏切り者ですかッ!?」
「わからぬ・・・だが、わしは花京院を信頼しておる!なにか理由がある筈じゃ!理由がッ!しかし、もし本当に花京院がDIOと通じているのなら、いつでも我々の寝首をかくのは可能!DIOの『トロイの木馬』ということだ!」
「花京院はどこにいる?」
「承太郎と一緒です。インドへ向かうバスか列車の手配をしに出かけました・・・。」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。