第31話

黄の節制:3
218
2021/11/22 21:00

「DIOの体がジョナサン・ジョースターの肉体である限り、わしと承太郎の行動は奴に筒抜けじゃ。だから休む暇を与えず、我々を追ってくる。──しかし、DIOの考えを逆に読むことが可能じゃ。」
ポルナレフがDIOの手下である、呪いのデーボに襲われてから一日。
ジョセフは急にそんな事を言い出す。
「ポラロイドカメラを買ってきましょう」
そんなジョセフにアヴドゥルはそう提案するが、「それには及ばぬ。カメラが無くとも念写は出来る。」とジョセフに言われ、「え?」と声が零れる。
そう言った後ジョセフは、傍にあったブラウン管テレビに触り、ジョセフのスタンド、ハーミットパープルをテレビに巻き付ける。
『マイケルはまだか?マイケルはどこにおる?』
ガチャリ。
『今週の第三位は、先週から五ポイントのジャンプアップの!』
ガチャリ。
『本日の金相場は一オンス──』
ガチャリ。
『おーーい、ネコドラくーん』
ガチャリ。
バッ、バッと切り替わるテレビの画面に、アヴドゥルは目を丸くして、様子を見守る。
「なにか──チャンネルがメチャクチャに変わっているようですが・・・」

「現在チャンネルごとで喋っている色々な言葉を探して、文章にしようとしておる。念写というより、念聴だ。」

『我々の──』

ガチャリ。

『中に』

「来た!『我々の中に』と言ったぞッ!」

ガチャリ。

『裏』

『切り』

『者』

ガチャリ。

『──がいる』

「なんだと・・・・・・?今の文章は、いったい・・・」
「『我々の中に裏切り者がいる』と繋がって聞こえたが・・・」

ガチャリ。

『カ』

『キョー』

『イン!』

『に!』

ガチャリ。

『気を』

『つけろ』

ガチャリ。

『DI』

『O』

『の』

『手下』

『だ!』

「花京院!?な・・・なにィ!」
「ば・・・馬鹿なッ!花京院が手下ッ!?」
『裏切り者がいる。花京院に気をつけろ。DIOの手下だ。』その言葉が紡がれ終わった瞬間、バシ、バシと画面が暗くなり──、
「あっ!コイツはッ!」

『ジョセフ・ジョースター!貴様!見ているな!』

「DIO!」
「バレた!危ないッ!」
そう瞬時に察したアヴドゥルは、ジョセフをテレビから離す。
すると、数秒もしないうちに、テレビは見る影もなくなる程に爆破されてしまった。

「見ていることを感じて妨害したか・・・」

「し、しかしどういうことです!?」
「今聞いた通りじゃ!DIOのもつジョナサンの肉体はわしと不思議な絆で繋がっているが──わしのスタンド、ハーミットパープルがそれを読んだ・・・。花京院はッ!DIOの手下で我々を裏切っていると確かに言ったッ!」
そう言うジョセフに、アヴドゥルは「まさかッ!」と焦りを見せたままで否定をする。
「考えられん!心を操っていた肉の芽を抜いたし、ポルナレフから聞いた話ではあるが、闘いの手助けもしていたと聞いている!それが裏切り者ですかッ!?」
「わからぬ・・・だが、わしは花京院を信頼しておる!なにか理由がある筈じゃ!理由がッ!しかし、もし本当に花京院がDIOと通じているのなら、いつでも我々の寝首をかくのは可能!DIOの『トロイの木馬』ということだ!」

「花京院はどこにいる?」
「承太郎と一緒です。インドへ向かうバスか列車の手配をしに出かけました・・・。」

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