現在時刻15:38。なんとか招集時間が終わる2分前には着くことができた。(ちなみに招集時間は15:30〜15:40ね)
いつもだったら、招集時間の5分くらい前には着いておくんだけど…今は仕方がない…
…ところで。
少し引いた痛みがまたぶり返してきたのだ。
ストレッチしているうちに治るといいんだけど…
龍と言い合っているうちに、少し痛みも引いてきた。
龍と凛も何か言い合っていたが…何も聞こえなかった。
特に大したことではないだろう。
凛と話していた龍が私の方を振り返った。
私達は合図をすることなく自然とハイタッチを交わした。
そして男子2人は男子の招集場所へ向かった。
…ああ…なんか良いなこういうの…!仲間って感じがして…!
慣れてることなのに、唐突に言われると変な声が出るのも私のまた悪い癖…(汗)
な、なんか心臓がむず痒くなってきた…
と、そんな話をしていたら…
慌てて後ろを振り向くと、気の強そうな女子が立っていた。
琴音はニコニコしながらこちらに近づいてきた。
私は思わず後ずさりしてしまった。
琴音は最後にそれだけ言うと、踵を返して東高校のマネージャーの元へ行ってしまった。
私は琴音のことは放っておいて、ウォーミングアップを始めようとしたら…
何度これが続くんだろうな!
私と凛が後ろを向くと、敵同士なはずの光南高校の水上 由希と悠然高校の風間 由香里が立っていた。
そう言いながら由香里が由希をバックハグした。
女子では高い、170cmぐらいの由香里は腕の中に由希をすっぽりうめてしまった。
私と凛は思わずタジタジしてしまった。
一方的にそう言うと、2人は元いた場所は戻って行ってしまった。
凛はポソリと呟くと私の手をガシッと握った。
凛の勢いにたじろいでしまったが、すぐに意識を集中させた。
…だが、私は密かに別のことを考えていた。
私に怪我を負わせた犯人のことだ。
龍が言っていたように、私が怪我をしたことでメリットがある人の可能性が高い。
…と言うことは、私と戦ったもしくは戦う選手…
今の所、怪しい人とは全員話した。
深く考えると全員が怪しく思えてきちゃうんだよなあ…
私がそんなことを考えている間にも、決勝の時間は刻々と迫っていた。
いよいよ、決戦の舞台が始まる────
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。