第9話

男たちのバトル
280
2018/07/31 09:16
龍side
俺が練習に向かう数分前──

楓たちと一緒に向かおうと思っていたのだが、いつの間にか先に向かってしまっていたようだ。
龍
ったく…同じクラスなんだから声かけてくれたっていいだろ…
気づいている人もいるかもしれないが……俺は楓に恋をしている。

幼馴染みということもあって小さい頃はずっと一緒に過ごしていた。

高校生になった今でもたまに遊んだりもしているのだ。
俺の気持ちに気づいているのは凛、ただ1人。

誰にも話す気は無かったのに、ちょっとした事故で知られてしまったのだ。
……まあ、たまに相談にのってくれるからありがたいとは思っているのだが…
颯斗
颯斗
……どうした?
龍
わっ!え!?
宇根が声をかけてきた。
颯斗
颯斗
…さっきから百面相してたから声かけたんだけど…何かあったのか?
龍
いや…別にぃ?
…なんだかひねくれたような感じで返してしまった。
颯斗
颯斗
……
宇根は不満そうな顔をしていたがすぐに元に戻った。
颯斗
颯斗
…森田、俺まだ校舎内の道とか分かってないから案内ついでにグラウンドまで一緒に行こーぜ
龍
え…なんだよ急に…
颯斗
颯斗
…ま、いいだろ。早く行こーぜ
宇根は俺の意見も聞かずに勝手に決めてしまった。
……別に構わないのだが…
俺が慌ててついていくと…
颯斗
颯斗
…なぁ、森田ってさ
龍
あん?
颯斗
颯斗
──伊藤のこと好きなわけ?
龍
…へっ!?////あっ…はあ!?
宇根がいきなり質問してきた。
よりによって…楓の話だ。
龍
べっべべべべべべつにっ!!そ、そそそんなこと、ないし!
俺は慌ててごまかしたが…
颯斗
颯斗
クッ…お前、嘘つくの下手だな
あっさりとバレてしまった。

今まで誰にもバレなかったのに…!(あ、凛以外な)
なんでバレるんだよぉ〜!!
颯斗
颯斗
…いや、だって…分かりやすすぎて
龍
エ、エスパー!?
俺は口に出していないはずなのに、心で思っていたことに答えてくれていた。
颯斗
颯斗
…伊藤と同じで…顔に思いっきり出てるぞ…ククッ…
また笑われてしまった。

…いや、楓と同じならものすごく嬉しいのだが…って!
龍
宇根、お前さっきから楓の話しかしてないけど
颯斗
颯斗
…ん?それがどうかしたか?
龍
…何?お前────楓のこと、好きなわけ?
颯斗
颯斗
……はあ?
宇根に思いっきり睨まれた…かと思ったが、
颯斗
颯斗
…さあ?…あいつ(と、七瀬もだけど)のことは、面白いとは思ってるけどね
そう言ってニヤリと笑った。
龍
!!
俺は奴を睨んだ。
龍
楓は…誰にも譲らねえ…
そう宣言すると宇根は、
颯斗
颯斗
…頑張れよ
そう言って階段を降りていった。
龍
…なんだよ…なんなんだよ…
奴は楓のことが好きなのか…?

いやまさか…まだ出会ってちょっとしか経ってないぞ?
龍
あいつ…あんな見た目のくせして…性格めちゃドSなんだな…
俺はそんなことを思いながら慌てて宇根を追いかけた。

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