資料整理をやっていたおかげで部活に参加できたのはほんの数分だった。
そして、あっという間にミーティングの時間となってしまった。
真田先生が集合をかけ、陸上部部員たちは先生の元へ駆け寄る。
部長の藤原と雅が前へ出た。
皆一斉に礼をする。
声に出したら明らかに当たりそうだったので私は心の中で叫んだ。
私たちは思いっきり山城兄弟を睨みつけた。
…一番痛いところをハモらせないで欲しいんだけど…
私は思わず反論しようとしたが、雅に背筋が凍りつきそうなほど睨まれてしまったため、口を閉ざしてしまった。
宇根っちにはニッコニコしてんのに…
“ほら宇根っちも”と私が宇根っちの脇腹を突っつくと顔を歪めながらも宇根っちは話してくれた。
私と宇根っちは手短に済ませるとすごすごと自分たちがいた場所まで戻っていった。
…ああ…後輩たちの真面目な元気な声が、私の心の傷に深く深くめり込んでくるよ…
今度こそ真面目に聞かないとな…
私はそう思って、真田先生の話を真面目に聞くのであった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。