凛は“ドンマイ”とでも言うように、私の肩にポンと手を置いた。
私は同じ言葉を繰り返した。
たまに…本当に、この性格が嫌になる。
直そうとは思うけど…ダメなんだよなぁ…
私はそう言いながらパンッと、頰を叩いた。
……いきなり出たその行動に2人を驚かせてしまったのだった。
どうやら、レースの線が引き終わったらしい。
400mリレーのメンバー8人はそれぞれの位置に走っていった。
…ちなみに言うと、私たちの学校のグラウンドはぴったり400mある。
…すごいよね…陸上競技場並みに広い…(苦笑)
私、入学したての頃はびっくりしたもん…
だから陸上部員にとってはうってつけのグラウンド。
練習会とかでもよくうちの学校が使われる。
敷地面積が大きいことで有名な学校なのだ。
…まあ、こんなことは置いておいて。
アンカーということで私の隣のレーンには宇根っちがいる。
余裕の表情で足首や手首をぐるぐる回していた。
私はそれを横目に見ながらメンバーの表情を伺うことにした。
まず、第1走者は男子が龍、女子が雅。
と、ここで選手達の特徴を説明していきましょう!
まあ、宇根っちは放っておこう。
気を取り直して…第1走者の特徴を説明しよう。
森田 龍はスタートダッシュが全国トップクラスと言われるほど瞬発力が良い。
まあ、龍の武器をあげるとしたらそこだね。
菊池 雅もスタートダッシュはかなり磨き上げられている。
でも、雅の武器はそれだけではない。前半の加速の仕方が絶妙にうまい。
ま、2人の武器はそんなもんね。
続いて、第2走者の壮真と優月。
山城兄弟の兄の山城 壮真は得意種目が走り幅跳びということもあり、瞬発力と跳躍力が人間離れしている。
綿谷 優月もハードル走を得意としているから瞬発力が尋常ではないね。
それと、冷静かつクールな性格の彼女だったら、スタートの雅がどの順位についても一瞬の判断でどうすれば良いか考えてくれるはず。
第2走者の武器はこんな感じ。
余計な邪魔が入ったけど…次!
第3走者は悠真と凛。
山城兄弟の弟、山城 悠真も兄と同様に瞬発力と跳躍力が人間離れしている。まあ、得意種目の走り高跳びのおかげかな?
七瀬 凛はご存知の通り、陸上部の中でもトップクラスの脚力を持っている。
エンジンをかけたら止まらない…w
それから、気づかない人も多いけど凛は後半が一番強い。
100m走った時みたいに油断さえしなければ確実に優勝争いに食い込める実力者だ。
第3走者はこんな感じで…
第4走者はって言ったほうがいいですかね?
ということで、第4走者は宇根っちと私、楓。
宇根 颯斗は後半の伸びがいちばんいいね。無駄がない、なめらかな走りが特徴ですね〜。
はい、そして私、伊藤 楓も後半の伸びがいちばんいいと言われております。
第4走者は以上。
さて、以上にて伊藤 楓による選手紹介を終わりにする。
長く付き合っていただき、ありがとうございましたー。
真田先生がピストルを構えているのが見えた。
始まる────────
パァンッ!
──龍と雅が一斉にスタートを切った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。