裏で律たちがそんな話をしていた頃。
楓たちの方では、400mリレーに出場する選手たちが着々と準備をしていた。
雅の性格の変わりように、冷や汗をかきつつ、私はメインスタンドへ向かおうとする女子たちを見つめる。
4人も足を止めて、私を見てくれた。
芹奈は何度も言ってくれた言葉をもう一度告げ、トンッと胸を叩いた。
おや、珍しい。雅がそんなことを言うなんて。
私はニマッと口角を上げ、からかい半分で雅を茶化した。
雅はフンッと、そっぽを向いてしまったが、その耳は薄っすらと赤く染まっていた。
…へへっ。可愛い奴めw
5人で笑いあっていたら、藤原が腕時計を見ながら、そう告げた。
いつもの痴話喧嘩がエスカレートしてしまいそうだったから、私は慌てて仲裁に入った。
喧嘩を止められてふてくされている凛に向かって、私はそう呟いた。
凛は目をパチパチ瞬かせると、
私たちは自然と手を差し出し、パンッとハイタッチをした。
じゃーねー!と言いながら、4人はメインスタンドへ降りていった。
私はその4人の背中を見送ると、フゥと息を吐き、ストンと席に着いた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。