…藤原はどこから取り出したか分からない、般若のお面を掲げてみせた。
凛は絶叫するし、その辺にいた女子たちも固まってしまった…
私はもう、完全に無視することにした。
そして、顔を背けようと思い校舎の方を向くと…
若干、目尻に涙を浮かべながら凛が尋ねてきた。
私がそう呟くと、その場にいた全員が、私の見ていた校舎の方を向いた。
凛が龍に一発蹴りを入れた。
“なんでだよ〜”と、のたうちまわる龍を放っておいて、職員玄関の前の外廊下を歩いている美女に目を向けた。
各々、意見を言いあった。
すると急に…
今まで黙っていた宇根っちが声をあげた。
大人しくなった龍が声をかけた。
そこにいた全員が絶叫した。
龍が深く問い詰めた。
宇根っちは少し困惑していたが、目を2、3度瞬かせた後口を開いた。
そして宇根っちは語り始めた。
宇根っちはため息をついて(私のせいなんだけどw)続きを話した。
って、そんなことは置いておいて。
そんな宇根っちの話が終わってもう一度彼女の方を見ると…
彼女もこちらの方を向いていて、目がバッチリ合ってしまった。
彼女が軽く…“上品に”お辞儀していたので私も慌ててお辞儀した。
彼女はニコリと微笑むと、母親と思われる人と一緒に校舎の中へ入っていった。
私たちの話題は彼女のことで持ちきりだった。
そして、その後忍び寄る真田先生の陰に気づかず、特大の雷が落ちてしまったのは言うまでもない。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。