第30話

新たなる影
211
2018/09/03 09:12
楓
大体、あんな風に殺気立たれて来ちゃぁ、怖くて怯えるわ!
颯斗
颯斗
…知るかよ、んなもん…
仁
いやぁ〜俺も見てたけど、あんな顔で来られたら誰でも絶対ビビるってw
楓
あ、藤原
颯斗
颯斗
…あんな顔って、どんな顔だよ
仁
んー、こんな顔
凛
ギャーーーーーーーー!!!!
…藤原はどこから取り出したか分からない、般若のお面を掲げてみせた。

凛は絶叫するし、その辺にいた女子たちも固まってしまった…
楓
…どうしたのよ、そのお面
仁
ひ・み・つ
楓
…………
私はもう、完全に無視することにした。
そして、顔を背けようと思い校舎の方を向くと…





楓
…あ
凛
…ん?どうしたの…?
若干、目尻に涙を浮かべながら凛が尋ねてきた。
楓
…あの人…
私がそう呟くと、その場にいた全員が、私の見ていた校舎の方を向いた。
壮真、悠真
…おぉ、美人
龍
…相変わらず息ぴったりだな(苦笑)
凛
そんなことはほっとけ!
凛が龍に一発蹴りを入れた。
“なんでだよ〜”と、のたうちまわる龍を放っておいて、職員玄関の前の外廊下を歩いている美女に目を向けた。
楓
…かわいい
仁
THE美少女って感じ
悠真
悠真
めっちゃ優等生っぽいよね
壮真
壮真
お嬢様感もすごいな
各々、意見を言いあった。

すると急に…
颯斗
颯斗
………あ
今まで黙っていた宇根っちが声をあげた。
龍
…どうした、宇根っち
大人しくなった龍が声をかけた。
颯斗
颯斗
…あいつ、見たことある…
楓、凛、龍
えぇぇぇぇ!?
壮真、悠真
マジ?
仁、雅
あらま
そこにいた全員が絶叫した。
龍
見たことあるってどういうこと!?
龍が深く問い詰めた。

宇根っちは少し困惑していたが、目を2、3度瞬かせた後口を開いた。
颯斗
颯斗
…俺さ、姉がいるんだけど、
楓、凛、龍
えぇぇぇぇ!?
颯斗
颯斗
…うるさいな
龍
いやいや、初めて聞いたから!
凛
そりゃ驚くわ!
楓
と、とりあえず続きを
颯斗
颯斗
…え、ああ
そして宇根っちは語り始めた。
颯斗
颯斗
…その姉が、音楽関係の仕事をやっているんだけど、1回だけコンサートに呼ばれたことがあるんだ。…ま、行く気じゃなかったんだけど…
楓
…ひどいやつ
颯斗
颯斗
…黙って聞け
宇根っちはため息をついて(私のせいなんだけどw)続きを話した。
颯斗
颯斗
…そこに、確かにあいつと思われる奴がいたんだ。……ステージ上に
楓、凛、龍
えぇぇぇぇ!?
龍
な、何歳の時?
颯斗
颯斗
…俺が小学校……5年生ぐらいの時だったかな。あいつも同い年くらいだったと思う
凛
何演奏してたの…?
颯斗
颯斗
…横笛
壮真、悠真
…は?
颯斗
颯斗
…だから横笛
楓
それって…フルートのこと?
颯斗
颯斗
…ああ、そうとも言うな
楓
…多分そっちの方が世間として通るかな〜o(`ω´ )o
って、そんなことは置いておいて。
颯斗
颯斗
…確か、父親が有名な作曲家で母親がプロバイオリニストとかだったかな
楓
へ〜すごいね〜…
そんな宇根っちの話が終わってもう一度彼女の方を見ると…
???
???
……
楓
…!
彼女もこちらの方を向いていて、目がバッチリ合ってしまった。
???
???
(ペコリ)
楓
!(ペコリッ!)
彼女が軽く…“上品に”お辞儀していたので私も慌ててお辞儀した。
彼女はニコリと微笑むと、母親と思われる人と一緒に校舎の中へ入っていった。
楓
…綺麗
凛
なんだろ、あの子。転校してくるのかな?
龍
それが一番だよな〜
壮真
壮真
同い年くらいだったってことは、俺たちと同じ学年か?
悠真
悠真
もし、転校してきたら一気に注目浴びるだろうね〜
私たちの話題は彼女のことで持ちきりだった。






そして、その後忍び寄る真田先生の陰に気づかず、特大の雷が落ちてしまったのは言うまでもない。

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