第34話

彼女は何者だ?
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2018/09/09 12:16
キーンコーンカーンコーン…
男子1
気をつけ、礼
3-A全員
ありがとうございましたー
1時間目の授業が終わった。
その瞬間────
男子1
おい、颯斗!さっきのどういうことだよ!
女子1
さっきの子とどういう関係なの!?
宇根っちのところに一気に人が集まった。

隣の席の私にもいい迷惑だよ…
…ってことはおいておいて。
龍
宇根っち!答えろ!
凛
如月 歌恋はコンサートで知っただけじゃないの!?
…質問攻めで宇根っちが少し可哀想に思えてきた…
私も口を開こうとしたら────
颯斗
颯斗
…悪いけど……
颯斗
颯斗
……俺、あいつのこと覚えてないんだ
3-A全員
はぁ!?
…なんということだ…これじゃあ幾ら何でも歌恋が可哀想だ。
──その時だった。






















いつの間にか教室の入り口に歌恋が立っていた。

そして切なく呟いたのである。
歌恋
歌恋
……やっぱり、覚えていませんよね…
宇根っちは席を立ち、歌恋の目の前まで進んでいった。
颯斗
颯斗
…悪いけど、姉貴に誘われて行ったコンサートで見ただけなんだ。…ごめんな
宇根っちがそう言うと、歌恋は更に縮こまった。
歌恋
歌恋
…本当にそれだけ…ですか…?
颯斗
颯斗
……?
歌恋
歌恋
……れんれん
颯斗
颯斗
歌恋が発したある言葉に宇根っちは反応した。
凛
…れんれん?
窓際に座っている私と凛はこっそり会話していた。
凛
…颯くん、れんれん…あだ名で呼びあってるってことはやっぱり知り合い?
楓
…まだわかんないよ
そして再び宇根っち達の方に視線を向けた。
歌恋
歌恋
…これでも思い出せませんか?
颯斗
颯斗
…れんれん……れんれん…
宇根っちは何かを必死に思い出しているようだった。

そして────












颯斗
颯斗
…あれか。お隣さんか
歌恋
歌恋
…!思い出しました…?
颯斗
颯斗
……久し、ぶり、だな
歌恋
歌恋
〰︎〰︎〰︎〰︎颯くんっ!!
歌恋が宇根っちに抱きついた。

その途端、女子達の目が鋭くなる…(苦笑)
颯斗
颯斗
…おい、バカ!…離れろ…!!
女子1
ちょっと宇根くん!如月さんとどういう関係なの!?
女子2
随分仲が良いようだけど…
女子3
まさか本当に婚約者なの!?
気の強い女子達が宇根っちに詰め寄る。
宇根っちは困ったようにこちらを向くと、
颯斗
颯斗
……こいつは……幼馴染みだ
3-A全員
えぇぇぇぇぇぇ!?
再び私達は絶叫した。

しかし歌恋は宇根っちのその言葉を反論するかのようにキッと勝気な目でこちらを向いた。
歌恋
歌恋
…幼馴染みだけではありません!婚約者です!
颯斗
颯斗
…だから、違うって…
龍
…どういうことか、説明してもらおうか…宇根っち
龍が宇根っちに詰め寄ると、宇根っちは観念したかのようにため息をつき話し始めた。

だがしかし────










キーンコーンカーンコーン…





2時間目開始のチャイムが鳴ってしまった。
みんな慌てて席に着く。
龍
また後で話せよ
颯斗
颯斗
……わかったよ…
余談だが…龍はこういう話が大好きだ…だから、こんなにも食いついてしまう。
そして、また次の休み時間にまで話が伸びてしまいそうだった。

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