第55話

全国大会 ー紛失したスパイクー
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2018/10/16 06:18
アナウンス
これより、第◯△回全国高等学校陸上競技対校選手権大会、2日目を開催いたします────
ワァァァァァァッ!!
そのアナウンスにより、会場のボルテージが一気に上がった。

2日目だというのに、後の3日はどうなるのだろうか…

私は桜泉の観客席に座りながらその会場の雰囲気に入り浸っていた。
凛
ところで、楓
楓
ん?どーした?
凛
スパイク、探さなくていいの?
楓
…あ
ああああああああああっ!!
そーだ、すっかり忘れてた!!

昨日、棗兄に盗まれたんだった!!
凛
…だから、まだそうと決まったわけじゃないって…
楓
いや、絶対そうだね!くそっ…予選の招集時間までにあのクソ兄貴を探し出さないと…!
優月
優月
コラ、乱雑な言葉遣いはよしなさい
楓
でも!
私が優月に注意されていたその時────
???
だーれが、クソ兄貴だって?
楓
あ、クソ兄貴!
棗
だから、俺はクソじゃない!女の子が乱暴な言葉を使うのはやめなさい!
昨日と同様、桜泉の観客席の手すりにもたれかかってクソ兄貴…ゴホン…えー、棗兄が現れた。
楓
…棗兄!昨日、私のスパイク盗んだでしょ!!
私は厳しく棗兄を問い詰めたが、返ってきたのは意外な言葉だった。
































棗
…はぁ?スパイク?何言ってんだ、楓
か────っ!こいつ、とぼける気かっ!
楓
とぼけないで!昨日から私のスパイクが紛失してんの!色んな場所探したけど見つからなくて、嫌がらせで棗兄が奪ったとしかありえないでしょ!?
棗
…さっきから本気で何言ってんだ、楓。俺はそんなことしてないぞ?
楓
嘘つくな!ぶん殴るよっ!
棗
そうカリカリするなって…でも、仮に俺が盗んだとして俺に何のメリットがあるんだ?
楓
決まってるじゃない。私を困らせるためよ!
棗
じゃあ昨日、俺がそれらしきものを持ってたか舞たちに聞いてみるか?
棗兄はそう言うと、「舞ー、美緒ー、虎ー」と近くにいた舞さんたちを呼んだ。
舞
どうしたのよ、棗。また兄妹喧嘩?
棗
まあちょっと…ところで、昨日、楓たちと別れた後、俺は何か靴が入った袋らしき物を持っていたか?
舞
…靴?持ってなかったと思うけど…むしろ、あの時は手ぶらじゃなかったかしら?2人とも覚えてる?
美緒
美緒
…パパ、なにももってなかったとおもうよ
和虎
和虎
ぱぱ、もってない
楓
…嘘
棗兄は“それ見ろ”とでも言うかなように、私の方を見た。
楓
じゃあ、どこに行ったんだ…?
予選の招集時間の11:00までに、なんとしても見つけ出さなければ────

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