観客席の手すりに寄りかかりながら、律さんがヒラヒラッと手を振っていた。
さっき言っていた『君の敵』という言葉が信じられないほど、律さんはニコニコしている。
…逆に言えば、その笑顔が薄っぺらい嘘の笑顔のようにも見えるんだけどね。
…と、私がピリピリした空気を身にまとっていたからか、不審がった龍と宇根っちが声をかけてきた。
2人の能天気な声に呆れつつ、私はこっそりとため息をついた。
私が何も言わず黙っていると、何かを感じ取ったのか、宇根っちが律の方に向き直った。
宇根っちの声色は物静かだけれど、どこか怒りを感じられるようだった。
律さんはその笑みを崩さずに、コテっと首を傾けながら宇根っちを見据えた。
図星を突かれ、私は思わず数歩後ずさってしまった。
その途端、龍が律さんに飛びかかった。
龍はますます強く律さんの襟元を握りしめる。
わたしは慌てて止めようとしたが、龍の興奮はおさまらない。
宇根っちが慌てて龍を羽交い締めにする。
それでも龍は歯を食いしばったまま、律さんを睨みつけている。
そんな龍を見ながら、律さんは襟元を正した。その瞬間、あの影のある笑顔がスッと消えた。
律さんはブツブツ呟きながら、私たち3人を睨みつけた。
神秘的な光を宿すその瞳に見つめられ、背筋がゾッと凍りついた。
龍と律さんの間にバチバチと見えない閃光が駆け巡る。
律さんの言葉を聞いて、慌てて周りを見渡すと、後輩や他校の生徒たちまで私たちのことを見ていた。
それを見て、龍はグッと体を引く。
律さんは龍を横目で見ると私たちに背を向けた。
律さんは最後にあの笑顔を見せると、颯爽と去っていった。
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皆さま、こんにちは!さくらもちです!!
突然ですが、今日は何の日ですかっ!?────そう!今日、12/31は『大晦日』ですね☺️
いよいよ平成が終わりますね…いや〜年取るって怖い怖い😅←
ということで、挨拶をしなければ!と思い、登場いたしました!
まず、2018年は私がプリ小説をデビューした年です!そして、たくさんの方に私の小説を読んでいただけました!
全ての人に感謝です。ありがとうございます😊
来年も頑張っていきたいと思います☺️☺️応援、よろしくお願いします🙇🙇
それでは引き続き、『君と私のバトンパス。』をお楽しみください!!
さくらもち
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。