第101話

全国大会 ー喧嘩ー
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2018/12/31 12:18
楓
…律、さん
律
やあ。数分ぶりだね
観客席の手すりに寄りかかりながら、律さんがヒラヒラッと手を振っていた。

さっき言っていた『君の敵』という言葉が信じられないほど、律さんはニコニコしている。

…逆に言えば、その笑顔が薄っぺらい嘘の笑顔のようにも見えるんだけどね。
…と、私がピリピリした空気を身にまとっていたからか、不審がった龍と宇根っちが声をかけてきた。
龍
…楓。この人、知り合い?
颯斗
颯斗
…知り合いっていっても、意味有りげな感じだな
楓
(…こんな奴、知り合いたくもないわ)
2人の能天気な声に呆れつつ、私はこっそりとため息をついた。

私が何も言わず黙っていると、何かを感じ取ったのか、宇根っちが律の方に向き直った。
颯斗
颯斗
…律?だっけ?
律
そーだけど?
颯斗
颯斗
…さっき言ってた『自業自得』ってどういうこと?
宇根っちの声色は物静かだけれど、どこか怒りを感じられるようだった。
律
…僕、できれば君とだけは ・   ・   ・   ・   ・ 仲悪くなりたくないんだけど
颯斗
颯斗
…は?
律
…まあ、いいや。その言葉の意味通りだよ
律さんはその笑みを崩さずに、コテっと首を傾けながら宇根っちを見据えた。
律
この子が怪我したのは、スパイクに気づかなかったこの子の責任だし、階段から落ちたのも後方不注意のせい…そうでしょ?
楓
…っ!
図星を突かれ、私は思わず数歩後ずさってしまった。

その途端、龍が律さんに飛びかかった。
龍
おい、お前言い方にもほどがあるだろ!
律
…正直なこと話しただけですが。それにしても、初対面の相手に向かっていきなり胸ぐら掴まれるのは心外だなあ…
龍
なんだとっ…!?
龍はますます強く律さんの襟元を握りしめる。
楓
ちょっ…龍っ!
わたしは慌てて止めようとしたが、龍の興奮はおさまらない。
龍
そもそも楓がこんな怪我を負ったのはっ!誰かも分からない卑怯者が動いたのが原因なんだ!それを、関係ない野郎にグチグチ言われて…ふざけんじゃねーよっ!!
颯斗
颯斗
…落ち着けっ!龍!
宇根っちが慌てて龍を羽交い締めにする。

それでも龍は歯を食いしばったまま、律さんを睨みつけている。
そんな龍を見ながら、律さんは襟元を正した。その瞬間、あの影のある笑顔がスッと消えた。
律
…そっかー…颯斗くん ・   ・  ・  ・   もかー…
律さんはブツブツ呟きながら、私たち3人を睨みつけた。

神秘的な光を宿すその瞳に見つめられ、背筋がゾッと凍りついた。
律
…アホらし。用も済んだし、僕は仲間の元へ戻ろうかな
龍
そっちが最初に話しかけてきたんだろうが!!
颯斗
颯斗
…龍…落ち着けって…
龍と律さんの間にバチバチと見えない閃光が駆け巡る。
律
…そろそろ周りの目を気にした方がいいよ。森田くん
律さんの言葉を聞いて、慌てて周りを見渡すと、後輩や他校の生徒たちまで私たちのことを見ていた。

それを見て、龍はグッと体を引く。

律さんは龍を横目で見ると私たちに背を向けた。
律
…っていうことで、またね。御三方
律さんは最後にあの笑顔を見せると、颯爽と去っていった。






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皆さま、こんにちは!さくらもちです!!

突然ですが、今日は何の日ですかっ!?────そう!今日、12/31は『大晦日』ですね☺️

いよいよ平成が終わりますね…いや〜年取るって怖い怖い😅←

ということで、挨拶をしなければ!と思い、登場いたしました!
まず、2018年は私がプリ小説をデビューした年です!そして、たくさんの方に私の小説を読んでいただけました!

全ての人に感謝です。ありがとうございます😊

来年も頑張っていきたいと思います☺️☺️応援、よろしくお願いします🙇🙇
それでは引き続き、『君と私のバトンパス。』をお楽しみください!!




さくらもち

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