第52話

全国大会 ー400mリレー予選②ー
134
2018/10/31 13:14
龍side
龍
よっしゃぁ!取り敢えず予選突破!
悠真
悠真
おおおおわった〜…
壮真
壮真
全体で予選2位通過…まずまずだな
颯斗
颯斗
…どこがトップ通過?
壮真
壮真
金本高だと
龍
お、100mの予選で宇根っちが対戦する奴じゃん
悠真
悠真
…もう、そんな恐ろしい話しないで、今は女子の応援しない?
颯斗
颯斗
…力尽きたか
悠真
悠真
…悪い?
俺たちはそんなことを話しながら観客席へ戻っていった。

観客席に戻ると、仁が満面の笑みで待ち構えていた。
仁
お・か・え・り〰︎〰︎〰︎〰︎!
龍
いや、ちょっと待て。お前そんな性格だったか?
颯斗
颯斗
…とうとう壊れたか…
仁
2人ともひどいなぁ。予選突破が嬉しいからテンションアゲアゲなだけだよ?
思いっきり頰を膨らませる仁。

…リスみたいと思ったことは秘密な。





────とそこへ。
???
お疲れ様、龍くん
龍
…棗さん!来てくださったんですね!
観客席の手すりに腕をかけた棗さんがそこに立っていた。
壮真、悠真
…なつめ、さん?
棗
お、そっくりな双子くん見っけ
山城兄弟を見てニコニコする棗さん。

桜泉高の陸上部は俺と宇根っち以外、口をポカンとさせていた。
仁
…龍、この人知り合い?
龍
あ、ああ。楓のお兄さん
陸上部 部員
お兄さん!?
────伊藤先輩、お兄さんいたんだ。

────意外…しっかりしてるからてっきり妹か弟がいるんだと…

────お兄さん、かっこいいな…
俺の“楓のお兄さん”発言で、一気にその場が活気付いてしまった。
棗
さ、そろそろ楓達が出てくるんじゃないか?
棗さんのその一言でまた一気に静かになった。
龍
(棗さん…すげぇ…)
俺は静かにそう思いながら、メインスタンドへ視線を落とした。






そこには菊池をはじめ、各校の第1走目が並んでいた。

その次には綿谷、凛、楓がいる。



俺は、手首をストレッチしている楓をじっと見つめた。

遠くから見ていても分かるくらい、楓はすらっとした体型で無駄な筋肉がついていない。男の俺からしても憧れる体型だ。

────って、何変態なことを考えてるんだ…俺…
棗
なーに、見つめて赤くなっちゃってんのかなぁ?りゅ・う・クン♡
龍
なっ!つめっさん…!////
棗
愛しの楓ちゃんを見ているの?
龍
だーかーらー!違うんで、やめてください!////
今更だけど、棗さんにも俺の好きな人はバレている…昔からしょっちゅうからかわれてるんだよ、これが…
棗
ほらほら〜、始まるよ?見ないと損するよ〜?
仁
どんだけからかわれてるんだよ、龍w
龍
2人ともほっといてくれ!!
俺は2人の言葉を無視して目の前のレースに集中した。










────勝てよ、楓。









スターター
On your marks────
スターター
Set────



パァンッ!!
その合図と共に、第1走目の選手が駆け出した。
さすが部長ってところだな。菊池が順調な走りを見せる。

安定した走りで2走目の綿谷にバトンを渡した。

綿谷はついさっきまでハードル走で競っていたとは思えないほどの美しい走りをした。

トップを死守し、疲れ1つ見せない顔で凛にバトンパス。

凛も落ち着いている。
途中、バランスを崩しそうになったが、慌てることなくアンカー、楓にバトンを渡す。

さすが、桜泉陸上部女子エースの楓。

宇根っちの時のように、ラストスパートを一気にかけ、怒涛の走りを見せてトップでゴール!!
龍
よっしゃぁ!
棗
うん、いつも通りだね
壮真
壮真
お、トップだな!
颯斗
颯斗
…これなら、全体の予選トップ通過もいけるんじゃないか?
悠真
悠真
ま、油断禁物だけどね!
俺たちは大盛り上がりで、ハイタッチをかわした。



































────この後、俺の大事なものに魔の手が伸びるとも知らずに。

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