2人の間に沈黙が落ちる
信じたくない事実を目の前に突きつけられ半ば呆然として呟いたその言葉は宵闇へと吸い込まれた
すぅっと妖夢の息を吸う僅かな音が沈黙を破った
それから1秒もしないうちに彼女の叫び声が市街地に響き渡った
それはそう妖夢に伝えて数時間も経たないうちにおきた
極めて冷静にそういった妖夢
それとは反対に私達は夜の市街地を全力疾走している
ここまでくればわかるだろう
もはや既視感しかない光景だ
妖夢の声が辺りに反響する
そこにいつものように落ち着いた彼女はいない
今の状況を鑑みれば当然のことだろう
走っている私たちを追いかけてくるのは
昨日見たあの呪いのようなもの
私たちにはああいう呪いや怨霊の類は相性が悪い
運悪く捕まって憑かれたりしたら私たちは間違いなく死ぬ
どうやってあいつをまこうかと考えていたその時
前にいた妖夢が急にこちらを向き刀を構えた
そう言った瞬間目の前から彼女の姿が消え背後から
刀が何かを斬ったような音が聞こえた
安心したようにため息をついた彼女に駆け寄り言葉をかけようとした
その時人間の気配がそばにあることに気がついた
呪いから逃げて周りに気づかなかっただんて、、、
急いで逃げようと妖夢に伝えようとしたが
一足遅く声がかけられた
幻想郷出身でもない
ただの人間が持つにしては常識はずれの
霊夢と同等と言ってもいいほどの力を持つ白髪の人間に加え
1つの肉体に2つの魂なんていう異常な状態の子供
今表に出ている魂は善の気配がするが
内側にいる気配は悪の気配しかしない
なぜただの人間にあそこまで悪意のある魂が入っているのか
なんてわからないが厄介ごと以外の何者でもないだろう
彼ら以外の人間も少なくともある程度戦えるように見える
正直白髪の人間以外は敵ではない
だがあの少年の中にいる何者かを怒らせればこちらもタダでは済まないだろう
恐らく重症になることは間違い無いだろう
咲夜の能力を使えば2人で逃げることは可能だ
しかし万が一彼の中にいる奴に効かなかった場合まずい
時を止めたことに気づかれるだけならまだしも最悪表に出てきてしまう可能性もある。
正直彼の中にいるのについては
私じゃなくて霊夢の専門分野だ
悪意のあるものというのはわかるが詳細はわからない
あそこまで強いものとの戦いだと弱点がわからない中で戦うのは不利だ
普通に逃げた方がいいのかもしれないけれど
あの白髪の人間がかなり余裕を持ってこちらと接している
勘になるが普通に逃げたとしても捕まる可能性の方が高い気がする
そう妖夢にいい彼等の方へと歩を進めた
バレない程度に構えたい気持ちはあるが恐らく彼にはバレるだろう。
しかし何もせずに彼らに近づくのは心もとない
「突然」と「見知らぬ」を強調していかにも
警戒していますという感じをだしながら彼らに近づく
後ろの妖夢も僅かにだが構えたようだ
生徒らしき2人から冷たい言葉を視線を受けた人間はわたわたと慌てているが
その表情だとこちらのことをまだ警戒しているようだ
そんな先生を傍目にこちらの警戒を解こうと
オレンジ色の髪の人間が必死に言葉をかけてくるが
残念なことに彼の中にいる存在のインパクトが強すぎて
余計に警戒心が高まるだけだ
だが彼自身はただの優しい青年のようだ
現代でここまでの人間は珍しい
思い出すのは自分が異変に加担したあの時のことや守谷の3人が来たあの異変のこと。
神だろうが妖怪だろうが関係なしにぶっ飛ばす彼女の姿は人間でありながらもまさに鬼神であった。
そう思い出に浸っていたが近づいてきた靴の音に一気に現実へと戻された
その人は”ある”方向に指を指して言った
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。