第17話

言葉の矢
303
2020/02/29 15:18
あなた
あなた
だって、諒のこと全然知らないでしょ?
自分の方が付き合いが長くてなんでも知ってるって言いたいわけだ。
ほんとう最近、性格の悪さに磨きがかかってきてるな…苦笑
でも、さすが王道ヒロイン。
まあたそはこんなことでは動揺はしない。
まあちゃん
まあちゃん
わー、かわいい!
シルクくんってやっぱり子供の頃からかわいいね。松崎さんもかわいい〜。2人ともこんなに小さい頃から一緒にいたんだね。いいなぁ〜
明るく言われて、むしろあなたの方がダメージをくらっている。
この作戦は無効だと気づいたあなたは、バン、と
アルバムを乱暴にとじると、今度はわざとらしく身震いをした。
あなた
あなた
ねぇ、なんか図書室寒くない?
まあちゃん
まあちゃん
そうかな?
それで、あなたがカバンから引っ張り出したのは、俺らの高校のジャージだ。


でも自分のじゃない。胸に「絹張」って刺繍がある。どんな理由をつけて借りてきたんだろう。
ドヤ顔でジャージをはおったあなたを見て、まあたそはちょっとおどろいたようだった。
まあちゃん
まあちゃん
それ・・・・・・
あなた
あなた
んー?
まあちゃん
まあちゃん
松崎さんが持ってたんだ!よかった。昨日洗濯しに行ったとき、見当たらなかったから
あなた
あなた
は!?洗濯!?
そのとき、僕達の目には、まあたその言葉が矢になって、あなたの体にブッスリとささったのが、はっきり見えた気がした。
あなた
あなた
洗濯・・・って、まあたそ、諒の家に洗濯しに行ったんだ!?
まあちゃん
まあちゃん
シルクくんちって、お母さんいなくて、家でいつも1人だって聞いたから・・・おうち大きくてびっくりしちゃった
いかにも恋人ですってセリフ!
結婚を前提にお付き合いしていますって感じの!
あなた
あなた
あ・・・うん・・・
まあちゃん
まあちゃん
お父さんも忙しいんだってね。
あんな大きな家で1人なんて、きっと寂しいだろうなぁ・・・
ブス、ブス、と矢が増えていくのが見えるようだ。
しかし、あなたはまためげない。頭をぶるぶる振って気を取り直す。
あなた
あなた
は、話変わるけど、あたし、諒にブラ見られたことあんだよね!
突然何を言い出すんだこのアホは!!!!!
あれは小学校5年そこらで、初めてスポブラを買ってもらってテンションあがったあなたが、自分から服をまくって見せびらかしただけだろーがー!
あなた
あなた
あのときの諒ったらぁ〜
ドン引きしてました、というつもりなのか。
でも、まあたそは聞いていなかった。窓の外に向かって手を振っている。
視線の先には、シルクがいた。シルクも笑顔で手を振り返している。
あなた
あなた
!?
またあなたの頭に矢がささっているぞ。
まあたそは、それには気づかず(当たり前だけども)笑いながら机の上を片付け始めた。
まあちゃん
まあちゃん
私が調べ物してる間、シルクくんに待ってもらってて━━━だからそろそろ行かなきゃ。
松崎さん、また明日お話聞かせてね。
そう言って、まあたそは去っていった。
取り残されたあなたは、もうぴくりとも動かない。

完敗だ。

幼馴染の絆でまあたそを倒すつもりだったのに、
完全に返り討ちにあってしまった。
━━━━━ほんとう、アホだよな。あなた。
私は、やれやれ、と席を立った。
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空音
空音
みんなー
空音
空音
こんな時間に投稿ごめんよー
空音
空音
今日も色々とあったのだよ・・・
空音
空音
明日もあげるから待ってておくれ!
空音
空音
それじゃ!
シルクさん
シルクさん
バイバイ( ^_^)/~~~

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