郁磨という人間と話すのが、俺は結構苦手だ。
目を合わせるのが嫌で、顔を思い出したくなくて。
俺は、郁磨という人間が大嫌いだ。
郁磨に近づいていってキスをした。
郁磨の口の中に舌を入れる。
キスなんて今までしたこと無かったのに、こいつのせいで上手くなってしまった。
◆◆◆
毎日のように抱かれて。
毎日のように好きなようにされて。
毎日、毎日、毎日…
それでも、拒めない。
だって、どんな酷い目にあうより、
その罪悪感の方が心を締め付けてきたから。
それを思い出す方が、
ぐちゃぐちゃに犯されるより辛いことだったから。
罪悪感で上手く思い出すことも出来ないが、
俺は郁磨の人生を無茶苦茶にしたし、
郁磨の性格がこうなったのも俺のせいで。
俺はその罪悪感から、逃れられることはない。
こいつが命令したら、俺は従うしかない。
沢山セックスして、
沢山喘いで、
後悔にかられるしかないのだ。
◆◆◆
復習にしては効率悪すぎるし。
あいつ、ゲイだったのか?
それにしても俺…一生このまま??
いつかあいつも俺の体になんか飽きるはず。
今はただ遊んでるだけだろうし。
あいつが許してくれさえすれば、俺の罪悪感も消えるんだ。
だから……
大丈夫、いつか飽きる。
そういい郁磨が俺の精液に顔を近づける。
いつ、飽きる……?
ふと、絢翔が聞いてくる。
もちろん即答した。だって、
こんな幸せなことは無かったから。
起こった出来事に感謝するほど、幸せな日々だ。
絢翔は言うことを聞いてくれるし、いくらでもエッチ出来る。
前までの関係性じゃ考えられない。
絢翔、好き。
好き、大好き、超好き。
一生一緒にいたい。
次は何しよう。
もっと俺のために悲しんで、辛くなって、気持ち悪くなって?
絢翔は俺のものなんだから。
俺のためならなんでもするんだから。
そりゃ絢翔は、
ショックだろうけど──────
もしかして、このままじゃ、このままの関係じゃいけない?
付き合うことは出来ない?
絢翔も……一生俺の事、嫌い?
昔は俺たち、友達だったよな………?
絢翔は一人でやってんのかな。
それとも、
他の友達と…………
◆◆◆
嫌い、大嫌い、超嫌い。
もう一緒にいたくない。友達だったのに。早く開放されたい。許されたい。
自然と涙が出てきた。
前までは友達だったのに。
普通に友達として好きだったのに。
嫌われて、許されず、このザマ。
アナルでもイけるようになってしまった自分に驚く。
普通のオナニーのように快楽を得てしまっている。
相手は、郁磨なのに。
ズボンを脱ぎ、ティッシュを用意する。
そして自分のちんこに手を──────
指を、自分のアナにいれた。
気持ちよくなる度思い浮かぶその顔が、憎くて仕方なかった。
お前のせいで、俺は。
お前は、俺の事、嫌いなのに。
いや、だから復讐か。
違う。
こういうことが言いたいんじゃない。
違う。
俺は……………………
お前に、離れて言って欲しくないだけで…。
こんな約束、意味なんてなかった。
嫌われるに決まってたのに。
怖くて、一緒にいたくて、ヤりたくて。
もどかしくて絢翔を抱きしめる。
ガッシリとしてて、何度も抱いた身体。
帰ろうとする絢翔の肩をとる。すると振り向いて……
◆◆◆
許された…………??
というか、俺が許す側になった?意味わかんねぇ。
俺酷いことされてた?いや確かにされてたわ。キツかったけど、あれは罪悪感から逃れるためがむしゃらに……。
否定しなくていいんだよな……?
俺は郁磨のことが好きで。
それと同じくらい嫌いで。好きで。あーくそ、急に気持ちの整理つかねーっての、
告白はしたけど、完全に好きって思ってたん訳じゃなくて、恋愛感情なのかすら……
もうヤダ寝たい……何も考えたくない、
何もわかんない、何も思いつかない…………
いや。
考えなくていいよな。
◆◆◆
あれからの郁磨は。
割と甘い。
思ったより俺のことが好きらしく、結構素直になった。
でも、今までやってきたことは完全にこいつの性癖らしく。
割とおもちゃ攻めとか射精管理とかその他もろもろしてくるので、普通に困ってたり。
何より、ハマり始めてる自分を認めたくない自分がいる……。
ここから先は、普通に幸せということで。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。