部屋で、男と2人きり。
少し前のめりになって、佐倉とキスをする。
急に押し付けられる強引な唇に、侵入してくる舌。
漏れる吐息と声。
◆◆◆
バカげた提案だとは思った。
それは、関節キスという言葉を使った変な制約で、
俺の彼女と美琴が関節キスをする為の約束だった。
でも、美琴は毎回驚く程顔を真っ赤にした。
ディープキスなんてクラスの橋にいる処女でも喘がないような内容で、
吐息を漏らし顔をとろけさせる。
なんというか~、物珍しいっつ〜か…~~、
ほんの、たまに、
ちょっとそれがたまらなかったり。
勘違いして欲しくないから言うが、別に、好意を持ってるとかの話ではない。
ただ。こんなんで照れてたら実践の時とかこいつ壊れちゃうんじゃないかと思ってしまう、その姿を想像するだけで……
………………いや、
バカだな。
いや、そりゃそうだよ。
俺はこの関係に甘えてるだけなんだ。
いつまで続ける気だ。
こんなの、俺に何の得もないのに……。
◆◆◆
急に、押し倒されて驚いた。
だって、美琴ってもっと女っぽくて……何考えてるかよくわかんないって言うか、純粋っつーか、気弱そうっつーか……
余裕の表情で、嘲笑うようにそう言い放った美琴。
……わっ、
それこそそれは、
この物語が始まる前から─────
ほら、恥ずかしがれ。せいぜい喚け。
俺を見て欲しかった。どーでもいい女の関節キスで興奮してるなんて思いたくなかった。
俺は、ずっと。
気持ち……悪い…？
まぁ、わかる。そんなの。男同士だし。
いや別に俺はこいつのことが好きなわけじゃ……！
わけ、じゃ………………
♡♡♡
〜HappyEND〜
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました！