彼から告げられた別れ
それは突然のことで
私の心を一気に壊していった
彼がいない生活なんて考えられなくて
彼からの愛がないなんて耐えられなくて
気づけば毎日のように死にたいと思うようになっていた
彼がいた頃の私はどんなこともプラスに考えて
たくさん笑っていた
でも、それは彼のおかげで
彼が隣にいない私は前までの私とは別人だった
見てくれないことなんて分かっていた
だけど
彼から返信が来ることを少し期待していた
よし、ツイート完了
そんなことを1人でブツブツ言いながらも
家の近くにあるコンビニに行くための準備をする
自分でケーキを買うなんてちょっと悲しいけど
まあ、25歳だし
大人だし
そういう時があってもいいかなって
時刻は 24時55分
もちろん人通りは少ない
コンビニの灯りが眩しい
ケーキと
普段あまり飲まないお酒
ちょっと飲んでみようかななんて
人通りは少なかったはずなのに
まあまあな列が出来ていた
待ち時間イヤホンを耳に入れて好きな曲を聴く
この時間がなんか好きだ
待つこと10分
俺の番が来た
イヤホンを直ぐに外し
商品を渡す
…
……
………
おかしい
おかしい…!!!
しっかり入れたはずなのに財布がない
レジであたふたしていると
横からひとりの女性が入ってきた
優しい声
俺が困っていることに気づいて代わりに支払ってくれた
私の目の前には深々とお辞儀をする彼がいた
間違いない
絶対にそうだ
レジで困っていた人を助けただけだと思っていた
彼が私から離れて歩いていく
少しずつ彼が小さくなっていく
そんな時
私は恐怖のあまりしばらく泣いていた
その間彼は何も言わずに、ただ私を眺めていた
彼の優しさに溺れた
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。