そこで記憶は途切れていて、目を覚ますと私の身体は沢山の管に繋がれていた。
イシャ『御自身の名前を憶えていますか?』
「はい。キム・あなたですよね?」
イシャ『キムさんは1週間目を覚まさなかったんです。チョンさんがナースコールを押すのがもう少し遅ければ危なかったです。』
「そうですか。」
イシャ『今キムさんには薬を処方していますので、花が咲くことは無いはずです。』
「じゃあ、薬を処方し続ければ治りますか?」
イシャ『はい。しかし、リスクを伴います。今処方している薬は副作用で記憶を失う恐れがあります。』
お医者さんは冷たい口調で淡々と告げた。
「なら私、薬は処方したくありません。」
私は、残りの人生を楽しむことに決めた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。