第4話

take4
1,138
2019/04/29 03:43
ーーー美苑ーーー
担任に公欠届を出しに行って教室に戻ってきたら美月が立っていた。部活どうしたんだろ?
伊吹美苑
伊吹美苑
美月?
驚いた顔でこっちを見た美月。なんかおかしい
伊吹美月
伊吹美月
あれ、美苑まだいたの?
伊吹美苑
伊吹美苑
こっちのセリフだよ。部活行かないの?
伊吹美月
伊吹美月
あ、…
伊吹美苑
伊吹美苑
なしたの
木兎と何かがあったのは容易に想像できるが、おそらく勝手にキレて逃げてきたんだろうな。
伊吹美月
伊吹美月
いや、その、体調悪くてさ
伊吹美苑
伊吹美苑
嘘だね。木兎となんかあったんでしょ?しかも勝手にキレて逃げてきたとか?
伊吹美月
伊吹美月
な!なんでわかるの?!エスパー?!
図星か。
伊吹美苑
伊吹美苑
はぁ。で?
伊吹美月
伊吹美月
うっ。
伊吹美苑
伊吹美苑
言わないならいいけどさ、マネージャーが無断欠席とか周りに迷惑かかるんだからね
伊吹美月
伊吹美月
美苑、代わりに行ってくれない?
伊吹美苑
伊吹美苑
美月、私今日レッスン。
伊吹美月
伊吹美月
あ!そうだった…
伊吹美苑
伊吹美苑
行きなよ
伊吹美月
伊吹美月
今日は無理…
伊吹美苑
伊吹美苑
じゃあ木兎に欠席の連絡いれて
伊吹美月
伊吹美月
それも無理…
伊吹美苑
伊吹美苑
はぁぁぁ。
伊吹美月
伊吹美月
木葉!木葉に美苑から入れといてもらえないかなぁ?
伊吹美苑
伊吹美苑
ハーゲンダッツ
伊吹美月
伊吹美月
かしこまり
仕方なく木葉に美月が具合悪くて部活休むことを伝えた。
自転車に乗って2人で家に帰る。
伊吹美苑
伊吹美苑
んで?なしたのさ
伊吹美月
伊吹美月
………光太郎が、ラブレターみたいなのもらってた
伊吹美苑
伊吹美苑
…は?それだけ?
伊吹美月
伊吹美月
それだけじゃないよ?それみてすごい嬉しそうにしてたの
伊吹美苑
伊吹美苑
いや、それだけ?
伊吹美月
伊吹美月
あ、あと、…
美月は今日の朝練終わりの話をした。いや、木兎はきっと無意識なだけなんだろうなと思うけど、言わない。確信があるわけじゃないし…
伊吹美苑
伊吹美苑
告っちゃえば?
伊吹美月
伊吹美月
むりむりむりむり
伊吹美苑
伊吹美苑
そんなこと言ってるから変わらないんでしょ?
姉の美月は私よりもずっと自由だ。
元ピアニストの母の血を色濃く受け継いだのは私で、初めは2人で受けていたレッスンも、階級差が出てきて別になった。
その時、美月はピアノ飽きたと言って、憤る母に目もくれずピアノをやめた。それからは母が死ぬ気で私をピアニストにするべくレッスンを始めた。
好きで始めたピアノもだんだんと重りになってきて、それでも私までもが美月のように自由奔放になれば母の怒りは収まらないだろう。
続ける道しか目の前には見えなかった。
それからはただ一心にピアノを弾いた。有名なコンクールで入賞して、世界規模の大会にも出るまでの実力になった。
姉は、そんな私をみても何も思わない。
伊吹美月
伊吹美月
美苑はすごいね
と、なんの気もなくいつも言ってくる。
天才ではなく秀才だと、
わかってくれる人は周りにはいない。良いDNAを受け継いだんだね。と言われ、私の努力なんか見向きもされない。
姉は、私の欲しいものをなんでも手に入れていく
高校へ入学する時、母に一度だけピアノをやめたいと言ったことがあった。
その時に帰ってきた言葉は
(母)「美苑まで私を裏切るの?」
だった。
本当は美月と同じでバレーボールが大好きだった。美月が中学からプレイヤーとして始めたバレーボールをやめて高校でマネージャーに入った時、一緒にやりたいと思って美月に説得を頼んだ。
でも、
伊吹美月
伊吹美月
美苑はピアノの才能があるんだし、やめない方がいいんじゃない?
無神経で能天気な姉。嫌いじゃないけどこの時ばかりはイラっときた。
姉は、私の欲しいものをなんでも手に入れていく
木兎だって…

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