ーーー美月ーーー
美苑が玄関を出る音がしたけど、私はまだ制服を着ていた。
美苑より3分遅れて家を出る。
すると自転車で坂を下った先に光太郎がいた
そう言って、ノリノリで私の自転車に乗った。
制服の裾を少しつまむくらいにとどめていた手を光太郎は自分の腹に回した
光太郎がスピードを上げる。あっという間に学校に着いてしまったけど、とても幸せな気分だった。
体育館に入ると赤葦にそう言われた。そして光太郎はしょぼくれた。まあ、そのあとは普通だったから大丈夫なんだろうけど
朝練終わり、光太郎と一緒に教室へ向かう。
言った。言ってしまった。そもそもこの人に恋というものがわかるのだろうか。
おっとー?まじで?木兎さんそれはどうなんだ。
あなたですけど
ぐさぐさっと心が傷つけられていく。
タイミングよく教室に到着して、その話題は終わったけれど自分が思っているよりもダメージが大きかったみたい。
(先生)「おい、伊吹聞いてんのか」
と、一日中言われまくった
しまいには
と、木兎に言われた。お前のせいだよと言いたかったけど、ただの八つ当たりになってしまうからやめた。
廊下で赤葦に会って3人で体育館に向かう。
また、胸がズキっとする。本人が無自覚なだけで本当にモテるんだから。ふざけんなよこのやろー。
イライラした。あーあ。八つ当たり
2人から離れてきた道を戻る。
赤葦にまで冷たく当たってしまった。
たかがファンレター(と思いたい)であんなに鼻の下伸ばして、なんなのよもう。私の恋話の時には応援するよとか言っちゃって。や、わかってるよ?私になんて興味ないもんね。はいはい知ってますよー。
なにも考えないで歩いていたから、気づけば4階の教室の前にいた。
美苑に代わりに行ってもらおうかなとか、考えていた…。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!