ーーー美苑ーーー
美月との言い合いから1週間が経ってあれから美月とはいい関係が築けていると思う
木葉からの告白の話は相変わらず保留のままで向こうもなにも言ってこないし私たちの関係に変化はない
ピーンポーン
予想外の出来事に頭が追いつかない
木兎の影から赤葦くんがひょっこりと顔をのぞかせた
マッハで支度をして家を出ると少し先に美月と木兎が歩いているのが見えた
あの日から何度も2人を見てるけど、今まで見たいなもやもやは消えていた。ただ消化不良だっただけで、伝えたら後悔というより肩の荷が降りた感じがした。
思ったことを言うのは爽快感がある
赤葦くんと話すのもあの日以来で心配してくれているのかな?
それ以上赤葦くんはなにも言わなかったけど、黙って私の横を歩いていた。
臆面もなくそんなセリフを吐いてくる赤葦くんはきっと気を使っているんだと思う。ほんとに結構大丈夫なんだけどなぁ
駆け寄っていくと頭をポンポンと撫でられた
そう言って歩き出した木葉の横に並ぶと赤葦くんが戻ってきてそして私の横に並んだ
イケメンに囲まれてる…笑
朝練がある2人はそのまま体育館へ私はまた公欠届を出しに職員室に向かった
「おー伊吹か」
先生に声をかけて今日のテストの概要を聞く
「あれ、木兎は一緒じゃないのか?」
呆れながら返すと少し戸惑ったように先生が言った
「あー、あいつ来週から全日本の強化合宿とやらでいないんだわ。だからあいつも今日からテストなんだけど…」
あいつアホだな
「おー、頼むそうしてくれ」
体育館に着くとみんなが一斉に振り向いた。1、2年はすこしざわざわしている
手招きをすると、Tシャツで汗をぬぐいながらこちらに走ってきた。絵になるなばかやろー。
体育館の中では美月がごめんっと手を合わせてこっちを見ていた
木兎と一緒に別室の受験会場にいくと急に木兎が気まずくなってきたのかソワソワし始めた
名前を呼ぶと不自然に肩が上がる
これ絶対女子が言うセリフじゃないよなぁ
テストは明日もあるけど、とりあえず今日の分を終わらせた。4日の行程を2日で行うから終わった頃には外真っ暗だった
携帯の電源を入れると、赤葦くんからメッセージが入っていた
???
とりあえず終わったよと連絡を入れるとすぐに既読がついて返信が来た
驚いて窓の外を見ると赤葦くんと美月がそこにいた
木兎も慌てて窓の外を見ると、窓を開けて叫び出した
美月が大きく腕で丸を作るとニヤニヤしながらこっちを振り向いた木兎を軽蔑の眼差しで見てやった
私の後を慌ただしくついてくるこいつのことをなんで好きだったのか既に忘れかけていた。
それよりも、なぜ赤葦くんが残っているのか不思議でならなかった
柄にもなく悪い口が出てしまったけどこれくらいいいと思う。どうしたら振った相手にそんなことが言えるんだろう。やっぱり木兎なんか好きじゃなかったわ笑
すこし思うのはきっと美月への対抗心がすこしはあったんじゃないかなって思う。もっと早く美月と言い合えてたらもっと早く諦めれてただろうな
玄関を出ると空にはきらきらと星が瞬いていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。