第19話

『君となら…Christmas Eve♡
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2020/12/26 12:24
『君となら…Christmas Eve♡』




☆★☆vo.0☆★☆


2学期の最終日。
望と流星がケンカをした。

と言っても…
些細な争いで…

でも、
そのせいで私は、クリスマスの2日間をひとりで過ごす予定になってしまった。








☆★☆vo.1☆★☆



たくさん悩んで買った、ふたつのプレゼント。
ピンクとブルーのリボン。

クリスマスプレゼントに渡したかったのに…
会う約束も…できなかった。

バイト頑張ったのに…
ムダになっちゃったな…




親友の里依紗に言ったら、


里:ホント男子って!ガキ!


と、私の代わりに、かなり怒っていた。




イヴの日。
母と弟が遠征へ出掛けた後、
私は家を出て、近所を歩いた。

いつもと違う、ひとりの家の中は淋しくて、ひとりで居ることを、ドッと沈ませるから。

気付くと公園に着いていた。
誰もいない。

沈んだ陽を追いかける様に、街灯が灯りだした。

私はいつもの場所じゃ無く、
公園を見渡せる、滑り台の上に座った。




あのベンチで…
キス…
されたんだよな…










☆★☆vo.2☆★☆



見上げると、暗くなった空を雲が覆っているのが分かった。

しばらく見上げていると…
そこに、小さな白が見えた。

それは、無風の張り詰めた空気の中、
スーーっと降りてきて、私の頬に着地して溶けていった。

何秒もかからないうちに、小さなそれは無数になり、フワフワと静かに舞い降りては、消えていった…

この地で無風な日も、クリスマスイヴに雪がチラつくのも、奇跡が重なった珍しい光景だった。


こんなたくさんの奇跡の中にいるんだもん…
もう、奇跡なんて起きない…




このまま ふたりとサヨナラしてしまう…

そんな気がして…

胸が苦しかった。










会いたかったな…












☆★☆vo.3☆★☆





どんッ!!!っ!!!





背中を押された衝撃で、そのまま一番下まで滑り落ちてしまった!

次の瞬間、、、
どすッ!っと、後ろから誰かが落ちてきて…

「メリークリスマス…」と、
鼻にかかった低い声は、私の冷えた耳に囁いた。




あったかい…




後ろから、包み込まれるように抱きしめられた私は、すぐに誰なのか分かった。


流:ゴメン…〇〇…


抱きしめる力が少し強まると、
流星の想いが伝わって、
辛かった私の心は、ホロッと ほどけていった。



〇:探してくれたの?
流:おん。どうしても会いたくて…
〇:流星…



私も会いたかったよ…


サンタさん…
ひとりで辛そうにしてた私を見て、
可哀相になっちゃったのかな?


日付が変わる前なのに奇跡が届いた。
私はそう思い、サンタさんに感謝した。








☆★☆vo.4☆★☆


流星はね、いつも優しいの。
結局、望の事も気遣ってくれる。

流星と再会して、その純粋で無垢な一途さを知り、
私は望と向き合う事ができた。


流星がいて、私がいるんだ。





流:メッチャ冷たいやん!


と、私の手を温めてくれる流星。

あの頃、この公園で殴り合いのケンカをしていた、ヤンキーとは思えない(笑)



流:ホンマは、俺やなくて…望に会いたいやろ?
〇:ヤキモチ?
流:ヤキモチやないわ!〇〇の気持ちが知りたいねん。
〇:そっか…ヤキモチじゃないのか…残念だな…
流:えっ…
〇:分かったかな…私の気持ち?



そんな私に流星は…

少し強引に、アゴを上げてキスをし、







流:クリスマスプレゼント。






と言って笑った…


☆★☆fin.☆★☆

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