『君となら…Christmas Eve♡』
☆★☆vo.0☆★☆
2学期の最終日。
望と流星がケンカをした。
と言っても…
些細な争いで…
でも、
そのせいで私は、クリスマスの2日間をひとりで過ごす予定になってしまった。
☆★☆vo.1☆★☆
たくさん悩んで買った、ふたつのプレゼント。
ピンクとブルーのリボン。
クリスマスプレゼントに渡したかったのに…
会う約束も…できなかった。
バイト頑張ったのに…
ムダになっちゃったな…
親友の里依紗に言ったら、
里:ホント男子って!ガキ!
と、私の代わりに、かなり怒っていた。
イヴの日。
母と弟が遠征へ出掛けた後、
私は家を出て、近所を歩いた。
いつもと違う、ひとりの家の中は淋しくて、ひとりで居ることを、ドッと沈ませるから。
気付くと公園に着いていた。
誰もいない。
沈んだ陽を追いかける様に、街灯が灯りだした。
私はいつもの場所じゃ無く、
公園を見渡せる、滑り台の上に座った。
あのベンチで…
キス…
されたんだよな…
☆★☆vo.2☆★☆
見上げると、暗くなった空を雲が覆っているのが分かった。
しばらく見上げていると…
そこに、小さな白が見えた。
それは、無風の張り詰めた空気の中、
スーーっと降りてきて、私の頬に着地して溶けていった。
何秒もかからないうちに、小さなそれは無数になり、フワフワと静かに舞い降りては、消えていった…
この地で無風な日も、クリスマスイヴに雪がチラつくのも、奇跡が重なった珍しい光景だった。
こんなたくさんの奇跡の中にいるんだもん…
もう、奇跡なんて起きない…
このまま ふたりとサヨナラしてしまう…
そんな気がして…
胸が苦しかった。
会いたかったな…
☆★☆vo.3☆★☆
どんッ!!!っ!!!
背中を押された衝撃で、そのまま一番下まで滑り落ちてしまった!
次の瞬間、、、
どすッ!っと、後ろから誰かが落ちてきて…
「メリークリスマス…」と、
鼻にかかった低い声は、私の冷えた耳に囁いた。
あったかい…
後ろから、包み込まれるように抱きしめられた私は、すぐに誰なのか分かった。
流:ゴメン…〇〇…
抱きしめる力が少し強まると、
流星の想いが伝わって、
辛かった私の心は、ホロッと ほどけていった。
〇:探してくれたの?
流:おん。どうしても会いたくて…
〇:流星…
私も会いたかったよ…
サンタさん…
ひとりで辛そうにしてた私を見て、
可哀相になっちゃったのかな?
日付が変わる前なのに奇跡が届いた。
私はそう思い、サンタさんに感謝した。
☆★☆vo.4☆★☆
流星はね、いつも優しいの。
結局、望の事も気遣ってくれる。
流星と再会して、その純粋で無垢な一途さを知り、
私は望と向き合う事ができた。
流星がいて、私がいるんだ。
流:メッチャ冷たいやん!
と、私の手を温めてくれる流星。
あの頃、この公園で殴り合いのケンカをしていた、ヤンキーとは思えない(笑)
流:ホンマは、俺やなくて…望に会いたいやろ?
〇:ヤキモチ?
流:ヤキモチやないわ!〇〇の気持ちが知りたいねん。
〇:そっか…ヤキモチじゃないのか…残念だな…
流:えっ…
〇:分かったかな…私の気持ち?
そんな私に流星は…
少し強引に、アゴを上げてキスをし、
流:クリスマスプレゼント。
と言って笑った…
☆★☆fin.☆★☆
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。