第75話

隠し味
883
2021/09/16 15:00
翌朝



1階のスナックに集まったお登勢一家



お妙
「私も招待してもらっちゃって良かったんですか?」



『ええよええよ
いつもはこれの10倍作っとるんや
1人や2人増えたくらい構わへんさ』



お妙
「毎日毎日大変ですね」



『ホンマやで
朝と夜 毎日沢山作るんは苦労するっちゅうねん
せやけど料理するんは大好きやさかい 言う程 苦やないで?』



お妙
「そうなんですね」



お妙の隣には厨房からの香りにヨダレを垂らし箸を構えた神楽が座っていた



お妙
「神楽ちゃん そんなに構えなくても逃げないわよ?」



神楽
「姉貴のご飯楽しみすぎるアル
待ってなんかいられないヨ」



お妙
「神楽ちゃんがこんなに楽しみって言うんだもの
さぞ美味しいんでしょうね」



『ちょお!ハードルあげんでよ!』



新八
「でも本当美味しいんですから!」



『あっはは
期待に応えなかんなァ!』



お登勢
「なんだい銀時 その浮かない顔は」



銀時は1人ソファ席で項垂れていた



銀時
「あ"〜頭いてぇんだよ…
それに金もむしり取られちまったしよぉ…」



お登勢
「それは滞納してるお前が悪いんじゃないのかい?」



銀時
「あ〜ハイハイそうですね…ヴッ…」



神楽
「ここで吐くなヨこの甲斐性なし
せっかくのご飯が不味くなるネ」



銀時
「あ〜酷いよ神楽ちゃん
銀さん泣きそう…」



キャサリン
「オイ!アバズレ!メシハマダカ!
イツマデ待タセルツモリダ!」



『てめぇに食わせる飯はねぇっつったろ!』



キャサリン
「ア"ァ?」



『そこら辺で野良猫の餌でも奪い取って食ってこればええやろが!!』



キャサリン
「ナンダトォ!!」



たま
[お二人共おやめ下さい]



お登勢
「おやまぁまたやってるよ」



お妙
「またっていつもやってるんですか?」



お登勢
「お嬢ちゃんが来た時にキャサリンが突っかかっちまってね
いつしかお嬢ちゃんが来る度にこんな感じさ」

「でも2人とも楽しそうにやってるからいいんじゃないのかい?」



新八
「これが楽しそうなんですか…?」



お登勢
「お嬢ちゃんのストレス発散になってると思うけどね
あんなところに居たら余計さね」

「この前なんかこの2人の言い合いを見た客がどっちが勝つかなんて賭けを始めてね
皆 お嬢ちゃんの方に賭けるもんだから 賭けになりはしなかったけどね」



神楽
「当たり前ネ
美人と猫耳ババアがいたら皆美人に賭けるアル」



『皆さ〜ん出来ましたよ〜』



そう言って奥から顔を出すあなた



そこには焼き鮭と卵焼き、漬物、味噌汁が乗せられていた



お妙
「あらホント美味しそうだこと」



お登勢
「ありゃこの漬物…」



『戸棚の中にいい具合に漬けられたのがあったんやけど使ったらダメでした?』



お登勢
「構わないよ」



『お登勢さん 漬物作るのお上手なんですね
とっても美味しかったです』



お登勢
「そうかい?嬉しいねェ」



キャサリン
「ナンダヨババアノ漬物使ッテルノカヨ」



『アンタの飯はこれや』

『猫は猫らしくせんとなァ』



そう言ってキャサリンの前に置かれたのは未開封のツナ缶だった



キャサリン
「フザケルノモ大概ニシロヨ!」



『ハイハイ悪かったね
ちゃんと用意してあるわさ』



そう言ってキャサリンの前に他の4人と同じものが置かれた



キャサリン
「ナンナンダヨ
マドロッコシイ事スルンジャナイヨ」



『銀ちゃん食べれそうか?』



ソファ席で項垂れる銀時に話しかける



銀時
「無理だ…ヴッ…」



『味噌汁だけでも飲みな
二日酔いに味噌の塩分と水分はいいらしいでな』



銀時
「サンキュ…」



神楽
「姉貴ィ!ホント美味しいアル!
味噌汁おかわりヨロシ?」



『まだまだあんで!』



新八
「味噌汁なのになんかあっさりしてますね
なにか特別な味噌使ってます?」



『味噌やのうて隠し味入れとるんよ』



新八
「隠し味ですか?」



『せや、隠し味にオリーブオイル入れるとあっさりして爽やかな感じになるんよ』



お妙
「ほんとだあっさりしてて美味しいわ」



お登勢
「ほんとだねェ
いつもこういう事してるのかい?」



『いつもって訳やないですけど毎日同じ味やと飽きるでしょ?
やから気分によって味を変えとるんです』

『今日は二日酔いの甲斐性なしがおるからさっぱりした方が飲みやすいやろな思て』



銀時
「なんだよさっきから"甲斐性なし""甲斐性なし"って酷いよ」



『事実やろ』




『同じ味噌汁でも味付けひとつで印象が変わる
それに気がついた食べてくれる人が笑顔になる
その笑顔が昔っから大好きでな
やから料理って楽しいんや』



たま
[データに書き加えておきます]



『おーおーええ子やなァ』



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あとがき



キャサリン
「アバズレ ノクセニ コンナニ美味シイナンテ悔シイ…」



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