『…重ェ』
小さくあなたの声が響く
そこには野郎共が雑魚寝していた
あの後も酒を飲み続け 周りの男達も潰れてしまい
正気でいられたのはあなただけだった
柱にもたれ掛かり胡座をかくあなたの膝の上には
濶と銀時が寝息を立てていた
右にはあなたと同じ深緑色の綺麗なサラサラストレート
左には白髪天パが乗っていた
少し前からその天パ頭に興味があったあなたはそっと手を伸ばす
『…気持ちエエなァ』
銀時
「ん…ぅん…」
あなたに頭を撫でられた銀時は気持ちよさそうに口角をあげる
濶
「あなた…」
その反対側で寝言を話す濶
あなたも自然と笑みが零れる
最後の1杯を飲み干すと目を閉じ眠りについた
翌朝
尿意を感じ目を覚ますと夜の状態のまま膝の上には2人の頭が乗ったままだった
一晩中胡座のまま頭を乗せられていたのだから当然あなたの脚は限界を迎えていた
『もう無理っ!』
勢いよく立ち上がると足元で ゴッ と頭が落ちる音がした
銀時
「ガッ!…いっったァ やべェあったま痛ェ…」
濶
「ヴッ!…頭痛いわァ」
そんな事をブツブツ言う2人を放ったらかし厠へと向かった
その途中 寝起きの音に会った
音
「おはよう…昨日は姉ちゃんもようさん飲んだらしいな」
『おん
せやけど全く酔われへんかった
それに男共が意外に弱くてつまらんかったわ』
『つか便所
マジ膀胱破裂するわ』
音
「行ってらァ〜」
その後野郎共の元へ戻ると
胡座をかき頭を抱える男達
『お!皆おはようさん』
銀時
「うるせェ…頭響く」
濶
「あなた…昨日何杯飲んだんや?」
『軽く8杯』
高杉
「…それを軽くとは言わねぇんだよ」
『アンタら案外簡単に潰れてまうんやもん
つまらへんわさ』
『残念やったなァ
うちの酔うた姿が見れんくって
なっ銀ちゃん!』
銀時
「べっ…別にお前の酔ったとこなんて微塵も興味ねェしっ!!」
桂
「黙らんか貴様ら
それにしても銀時 顔を真っ赤にしてどうした
まだ酔いが醒めんのか」
坂本
「なんじゃァ金時ィ〜
そんな真っ赤にしても説得力無いきに
素直になったらどうじゃ?」
高杉
「おい銀時
…頑張れよ」
銀時
「何がだ!!」
濶
「銀時くぅ〜ん
俺の前で言うたら…わかるよなァ?」
銀時
「え?え?なんの事でしょうかねェ…?
お義兄さん辞めません?目が笑ってないよ!?」
濶
「誰がお義兄さんや!」
『喧しいわ
何を言うとるんか知らんが酔っ払いの喧嘩の仲裁なんかしやへんで?
まだ気持ち悪うなっとったり頭痛いんやったら音んとこ行ってきや
酔っ払いの介抱は勘弁やでな』
そう言って部屋を出ていくあなた
『んな事より朝飯〜』
『父ちゃァ〜ん!今日の朝飯なぁに!』
足取り軽くスキップをしながら食堂へかけていくあなた
その足音を聞きながら男達はあまりの頭の痛さと吐き気に頭を抱えるのだった
____________________
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!