銀時誕生日前日談
『誕生日何が欲しい?』
何気なく商店街を並んで歩く銀時とあなた
突然の質問に銀時の動きが止まる
銀時
「な…なんでもいいのか?」
やっとの事で返信をした銀時に
『いや…ものによるけど』
と銀時の顔を見上げる
その返事と目線に耳まで真っ赤に染める銀時
『どうしたん』
銀時
「いや…別に…」
『んでなんか欲しいもんとか無いの』
そう言って問い詰めてくるあなた
銀時
「欲しいもん…なぁ…」
少し考えて答えが出た瞬間さらに顔を真っ赤に染める
銀時
「ほんとになんでもいいんだなっ!」
強めに聞く銀時に
『ものによるって言うたやん』
二度も言わせるなと顔をしかめるあなた
銀時
「お…お前が…欲し…欲しい…なぁ…!なんて…思ってたり…してたり…する……かも…しれない…ね…」
顔を真っ赤に染め吃りながら口に出す
照れ隠しのように頭をかきながら空を見上げた
しばらくその場に沈黙が走る
銀時「え…えっとぉ…」
さすがの気まずさに視線を下ろすと銀時の目線の先には
見た事が無いくらい有り得ないと言わんばかりの表情をしたあなたがいた
『いや…キッショイ
マジで冗談やめて ホンマ勘弁』
とガチトーンで返される
さらに
『うちは物とあらへんで』
低い声を出し 銀時を睨みつける
初めての拒否の言葉と表情に動揺が隠せない
銀時
「ぁ…えっ…とぉ……」
分かりやすく落ち込む銀時
『…』
その様子にひとつため息をつく
『…今は誰にもやる予定はあらへんけど
当日だけはアンタの相手したるから堪忍してな』
そう言って微笑むあなた
銀時
「本当かっ!?」
すぐにいつもの調子に戻る銀時
その様子を見ていた見廻り中の土方と沖田の2人
沖田
「アレで付き合ってねぇんでしょう?」
土方
「俺が知るかよ」
沖田
「旦那が気の毒でいけねぇや」
土方はタバコ、沖田は団子の串を咥えたまま
笑って歩いていく2人を見送った
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!