第49話

幽霊 < 天人 < 人間
1,202
2021/07/20 15:00
部屋につき



寝る隊士達の容態を再確認する



するとどの隊士にもみんな一様に蚊にさされたようなキズがあった



『あれ…幽霊なんかやなくて…』



新八
「あの…あなたさん」



『おーどうしたん』



新八
「さっきの幽霊 蚊取り線香を近づけたら逃げて行ったんです」



『蚊取り線香…』



新八
「アレは幽霊なんかじゃないですよ」



『せやな…みんな蚊にさされたようなキズがあるんよ』



新八
「じゃあやっぱり…」



『おん…』




『多分…"天人"やな』



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庭では銀時と土方によって捕らえられた女が木に逆さにぶら下げられていた



「あの〜どうもすいませんでした〜」

「私 地球でいういわゆる蚊みたいな天人で
最近上司との間に子供ができちゃって
この子産むためにエネルギーが必要だったんです」

「あの人には家庭があるから私一人でこの子育てようって」

「それで血を求めてさまよってたら男だらけでムンムンしてる格好のエサ場を見つけてつい…」

「ホントすいませんでしたでも私強くなりたかったのこの子育てるために強くなりたかったの!」


くわっ


近藤
「スイマセンその顔の影強くするの止めてくれませんか」



『…黙って聞いてりゃァアレか?』



部屋の中から障子をピシャッと開け放ちあなたが出てくる



それに驚いた銀時と土方が軒下に潜り込む



神楽
「…何やってるアルか二人とも」

「それに姉貴も…!」



神楽の目線の先には俯き黒いオーラをまとったあなたの姿があった



『自分一人じゃァ何も出来へんから人様に迷惑かけてでもその腹ん中におる赤子産もうっちゅうんか
相当イっとる考えしとるんやなァ…』

『自分のうちの問題を 人様…それもよそのうちのもんに迷惑かけよって…
覚悟は出来とるんやろうなァ!!』



そう言って顔をあげるあなたの表情は今までに見たことも無いほどに怒りの表情をしていた



近藤
「!あなたさんっ!」



スっと構えの体制をとったかと思うと右手にはキラリと光る包丁が握られていた



土方
「オッ…オイ!!」



銀時
「あなたっ!!何をするつもりだ!!」



軒下から這い出た銀時と土方が焦りの表情であなたに近づく



するとヒュッ!とあなたの右手から放たれた包丁は女を吊るす紐を切る



「グホォッ!」



地面に叩きつけられた女はズズズズズと近づいてくるあなたを見上げながら怯えた表情を見せた



「ヒエェ…」



『人間様に迷惑掛ける宇宙人は星に帰れや』



そう言って千切れた紐を掴み軽々と持ち上げたかと思うと



砲丸投げの如く体を回転させながら勢いをつけ



『くぅそぉがあああああああああああああああ!!!!!!』



そう叫びながら手を離し



飛んで行った女は夜空に輝く星となった



『かえって来んなやクソ天人おおおおおおおおおおおお!!!』



沖田
「お、ホームラーン」



銀時
「おいおいおいやりすぎじゃねぇ?」



『銀ちゃんも知っとるやろ うちが天人大っ嫌いやっちゅう事は
人間様地球人に迷惑掛けよる天人宇宙人は特になァ』

『あ、神楽ちゃんは別なっ』



この時その場にいた者達は悟ってしまった



この世で本当に怖いのは幽霊でも天人でもなく



人間あなただということを…



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