『手加減なんかしたら本気のうちには勝てやんで』
『じゃ』
「姐さんっ!」
隊士の呼びかけに応えることも無く屋根に飛び乗る
『小太ちゃん行くで』
桂
「ああ」
桂の前を走るあなた
桂
「あいつらお主の事を"姐さん"などと呼んでいたが知り合いなのか?」
『知り合いっちゅうかなんちゅうか…』
桂
「まぁいい話は後で聞いてやるさ
とりあえず銀時の所へ行こう」
『せやな』
桂
「それにしても見事な剣さばきだったな」
『そりゃどうも』
桂
「昔とさほど変わり映えもないようだ」
『そう簡単に人間変わるもんやないんでな』
桂
「そういえば定食屋はどうした」
『んー、色々あってちょっと前に辞めてこっち来たんよ』
桂
「また貴様の飯が食いたいなぁ」
『はいはい』
屋根の上をつたい万事屋の屋根につく
『よっと』
桂
「ほいっ」
万事屋の玄関前に立ちインターホンを鳴らす
ピーンポーン
桂
「銀時はいるか?」
ガラガラと扉が開き赤髪の少女が顔を覗かせる
神楽
「なんだヅラかヨって…姉貴ぃ!」
あなたの顔を見るや否や目を見開いて飛びついてくる
『うおっ…神楽ちゃんどうしたの?』
神楽
「姉貴に会いたかったネ!」
『ホンマ?』
桂
「リーダー、銀時はいるか?」
神楽
「銀ちゃんなら中にいるアルよ!
姉貴!さぁさぁ中に入るアル!」
『お邪魔しま~す』
桂
「リーダー?俺もいるのだが…」
そう呼びかける桂だが神楽に無視をされる
新八
「あなたさん桂さんいらっしゃい!」
銀時
「よぉあなた~!
…ってなんでヅラまでいんだよ」
ソファーに座り万事屋3人と、あなたと桂は向かい合う
こんな感じ↓
新八 銀時 神楽
┏━━━━━┓
┃ 机 ┃
┗━━━━━┛
桂 あなた
桂
「ちょっとそこで会ってな
真選組の奴らに追われてたから一緒に逃げてきたんだ」
『誤解を招く言い方辞めてくれん?
うちはあんたに連れられて来ただけや』
桂
「だが貴様もあいつらに盾突いていたではないか!」
『逃げるだけのあんたに言われた無いわ!!』
銀時
「え? あいつらに何したの?」
桂
「俺たちを追ってきた奴らに立ち向かって全員の刀を折っていたな
昔と変わらず強かった…」
そうしみじみと浸っていた
銀時
「あなたやばくね?お前あそこ戻れんのかよ」
『うん やばいよな 今改めて思うたけどやばいよな』
桂
「ん?なにがやばいのだ?」
銀時
「今こいつ奴らのとこで女中やってんだよ」
桂
「何ぃ!?貴様俺たちを裏切ったのか!?」
『いや裏切ったも何も今はあんたらの味方や無いんやけど』
桂
「貴様、天人との戦において"鬼神"という名に恥じぬ働きをやってのけ、たった兄妹2人で100もの軍を蹴散らせた」
「緒方あなた、そして兄上の緒方濶殿」
「貴様の力があればこの腐った国を立て直すことが出来るだろう」
「"摂津の鬼神"として恐れられたお前のその力を幕府の犬の元に置いておく訳にはいかないのだ」
『…』
新八
「…あなたさん
あなたまで攘夷戦争に参加してたんですか」
桂
「大怪我を負い戦場を去っていったがな」
「その後父上殿と定食屋をやると聞いていた」
『…うちはあんたみたいに逃げるだけなんが嫌なんや』
『それにうちはこっちに音と父ちゃんを探しに来ただけ』
『そんで迷っとる所に助けてくれたんがあの子らやった…』
桂
「お主…」
銀時
「ヅラ、そういうこったぁ
あんまりこいつを巻き込むなよ」
『まあでも帰って怒られるんは目に見えとるがなぁ』
神楽
「あんな奴らのところなんか行かなくていいネ!
ここに居ればいいネ!」
新八
「神楽ちゃん!」
『神楽ちゃん よぉ聞いてな』
『うちはあの子らに助けてもらったんや
やから恩返しにて思て皆に飯を作ったっとる』
『神楽ちゃん 新八くん
銀ちゃんがまたやらかしてもうた時にうちの飯が食いたかったら何時でも呼んでな』
神楽
「姉貴ぃ!!」
桂
「俺もあなたの飯が食いたいぞ!」
『はいはい…』
『うちはまだこれから買い出しや
じゃあまたな』
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。