第79話

道端に人が倒れてたら真っ先に救急車を呼べ
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2021/09/26 15:00
ザザザッ



山崎
「まさか…」

「伊東の奴…奴等と手を結んでいたなんて」

「副長に…早く…副…」



伊東と篠原の話を耳にした山崎はその事実を土方に伝えるべく 怪我をした左腕を抑えながら砂利道を走る



ザァウ



山崎の目の前に1人の男があらわれ腹を貫かれてしまった



山崎
「ぐほ」

「お…お前は…」

「鬼兵隊…人斬り…河上…万斉」



足元に倒れ込む山崎を見下す河上



そして背後に立つ伊東一派



山崎
「い…伊東…」

「きっ…貴様ァ…
攘夷浪士てきと…内通していたかァ…」



伊東
「山崎君 君達のように斬り合いばかりじゃ世の中は変わらん
もっと利口にならねば」

「幾ら剣をふるったところで 犯罪テロは殲滅できやしない
もっといえば攘夷浪士かれらがいなければ 僕等 警察も必要なくなってしまう事を忘れてはいけない」

「僕等はもっと互いにうまくつき合っていけるはずなんだ
双方の利潤を満たし均衡を保つためのパートナーとして」

「君の土方じょうしのようなやり方では真選組はこれ以上強くならん
僕の手によって真選組は生まれ変わるんだ」

「もっと強く…もっと大きく
そうして この伊東鴨太郎が器を天下に示すための方舟になってもらおう」



ずず…



両腕で這いずりながら前に進んでいく山崎



山崎
「くくっ…
やりたきゃやりなよ」

「だが 一つ言っとく
アンタがどれ程の器の持ち主なのかなんて 学のない俺達にはわからんよ」

「でも 士道も節操ももちあわせない空っぽの器なんて誰もついていかんよ」

「俺は土方達あのひとたちについていかせてもらうわ
最後まで」



伊東
「…フフ
死ぬ最後の時まで土方やつにしらせようと前進する
それが監察である君の士道だと…」

「万斉殿 あとは頼む」



そう言って山崎に背を向け歩いていく



伊東
「君には攘夷浪士と戦い討ち死にした名誉の殉職を与えよう」

「良かったな
君らの大好きな士道とやらが通せるんだ」


「上司達にもしっかり伝えておいてやろう」

「…いや 必要ないか」

「彼等もスグに君の所へいく事になるのだから」



ドスッ



断末魔を背に歩いていく伊東一派



その前には立ちはだかる1人の女が



伊東
「おや 案外寝返るのが早いですね 緒方さん」



『だぁれも寝返るなんて言うとらんやろ』

『あんな道の真ん中に死体放ったらかしにしちゃあ街の人がびっくりするさかい
墓まで運ぶだけよ』



伊東
「確かにそうだ
心遣いありがとうございます」

「墓まで運ぶのはいいですが時間はすぐですからね
迅速に対応お願いしますね」



『ハイハイ』



伊東達はあなたの横を通り過ぎていく



河上は姿を消し道の真ん中には山崎が倒れ込んでいた



幸い山崎の息は止まっていなかった



『なんや…とどめ刺さんかったんかい』



山崎
「姐…さん…なんで…」



伊東一派の姿が見えなくなるのを確認し 山崎を背負うあなた



『うちもあんたと同じ事思っとる
うちも近藤さんや土方 ザキ君がおる真選組の方が好きや』

『あんな 自分の欲望の為に周りを犠牲にするやつは嫌いやねん』



山崎
「じゃぁ…」



『せやけどごめんなァ
今だけはあっちについとるフリせなあかんのや
うちの身を守るためやさかい』

『あんな野郎の所で死ぬんだけは勘弁やでな』



山崎
「俺も…姐さんの飯…また食いたいです…」



『あっはは☆ そうかァ!
じゃああんたも生き残らなあかんなァ!』



山崎を病院に送り届けその場を離れた



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