攘夷時代
『ふんふふ〜ん』
スパァン!!
勢いよく襖が開き男どもが入ってくる
『ゲッ…』
銀時
「あなた〜!!腹減ったぁ!!」
『まだや邪魔すんな』
坂本
「あなた〜飯はまだかのぉ!?」
『まだや!』
桂
「あなた!飯はまだか!」
『まだや!!』
高杉
「あなた、」
『まだや言うとるやろ!!
耳無いんか!?鼓膜破れとるんか!?』
高杉
「お、俺は名前を呼んだだけだ」
『…晋ちゃんはええわ』
銀時
「おっうまそっ!パクッ」
『おい、』
坂本
「おお!美味そうじゃ!パクッ」
『おい』
桂
「む!どれどれ!パクッ」
『おい…あんたら…』
高杉
「…」
ドォン!!!!
銀時
「ウォッ!」
坂本
「ナンジャ!」
桂
「ムッ!」
高杉
「…!」
あなたは勢いよくまな板に包丁を突き立て
目の前でつまみ食いをした3人を睨む
「まだ出来とらん言うたよなぁ…」
包丁を握る拳に力が入り
ミシミシとまな板にヒビが入る
銀時
「ヘッ!?そうだった…?で、でももうここに積んであるし…それに十分美味いぜ?」
坂本
「え〜もうここにあるんじゃき食うてもええじゃろ
それに美味いぜよ」
桂
「食って良いのじゃないのか!?
しかしそれにしてもあなたの飯は美味いなぁ…」
『言われんでも美味いのは分かっとるわ
そんな褒めてもなんも出て来ぉへんでな
そういう事やなくてまだ最後の仕上げが出来とらんでまだや言うとんねん』
3人に美味いと褒められ少々舞い上がったあなただったが声色は相変わらず怒ったままだ
銀時
「あなたちゃぁん!そんなに照れなくても良いんだよぉ?
ほんとに美味しいからさぁ」
『くっ…』
俯いて拳を握るあなた
銀時
「お?」
『腐れ天パは黙っとれぇぇぇ!!!』
銀時
「ぶべらぁっ!」
勢いよく振りかぶったあなたの拳は銀時の左頬に当たり、勢いよく飛んで行った
高杉
「ククッ…今のは銀時の自業自得だな」
『あ"ぁ…もうまじあんたらの相手しとると体力使うわぁ』
そう吐き捨てると
皿に積み上がった海苔の巻かれていないおにぎりの山を
崩すように掴み口の中へ放り込んでいく
銀時
「いってぇ…あ!お前!俺らにはまだ食うなって言っといてお前だけ食うのはずりぃぞ!!」
『うちがモグモグ…作ったんやでパクッモグモグ…ええんやモグモグ…』
坂本
「お前は食いすぎじゃ!わしらの分が無くなるじゃろ!!」
桂
「あなたが食うなら俺も食うぞ!」
おにぎりを奪い合うように食べる4人の姿を見ながら
高杉ただ1人呆れた顔をしてため息を漏らした
高杉
「はぁ…」
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!